夏の休暇が終わる頃になると、いよいよワイン造りに向けたぶどう栽培もラストスパートに入る。場所によってはさっそく収穫というタイミングになることもあって、今年の出来があちこちで取り沙汰されるようになる。9月1日付の『ル・パリジャン』紙は、南部地…
海外旅行から帰って来ると、検疫所の前で「発熱等の症状のある方はお申し出ください」といった標示を見かける。幸いにもこれまでこの施設のお世話になったことはないが、慣れない旅先から妙な病気を持ち込んでしまったら、自分が困るだけでなく社会的にも多…
現代日本における労働をめぐる情勢から考えると、二つ以上の仕事を掛け持ちするという状態は、「充分な収入を得るためにそれが必要だ」という見地から主に考えられることになるだろう。その意味では現時点での仕事掛け持ち、すなわち「ダブルワーク」という…
日本では「物価の優等生」などと呼ばれ、生産・消費共に比較的安定していると見られる卵だが、フランスでは最近かなりの混乱状態が生じているようだ。生卵を大量に廃棄して(壊して)デモンストレーションする農民たちがテレビでも話題となっている。8月14日…
フランスなどの新聞各紙に見られる夏の連載記事は、言うまでもなく事前に書きためておいてヴァカンスを取得する記者たちに配慮するための便法だが、読み手側も往々にして休暇中であることを考えれば、連載ならなんでもよいというわけでなく、のんびり読んで…
九州よりやや小さいぐらいの国内に100か所以上の醸造所があり、味も種類も豊富なことで有名なベルギービール。それでもさすがにブリュッセルで現在ビール製造を行っているのは、カンティヨンとセンヌという2業者しかない。ところが最近になって、首都3番目の…
ヴェルサイユ宮殿のフランス式庭園については関心があり、かつてだいぶ調べたこともあったけれど、実はまだこの目で見たことはない。宮殿の豪壮さについては自分の感受性を超える部分もあるのではと身構えてしまうところもあるが、庭園は自然の要素を人為的…
今の世の中、王室・皇室を持つ国において即位式と言えば、一般にはお祝いムード一色といったイメージで捉えられるように思う。ところが今般のベルギー国王の譲位、そして新国王の誕生は、もちろんめでたい行事ではありながらも、同時に重大な政治的含意を有…
これまでパリ滞在時には、必ずといっていいほどレ・アールにある超大規模な書籍・CDショップ、フナックに立ち寄って買物をしてきたものだ。国内各地に広大な面積の店舗を構え、幅広い品揃えの図書やCD、近年ではパソコン関係やオーディオ商品なども販売して…
米コンデ・ナスト社が発行するライフスタイル誌『ヴァニティ・フェア』。日本語版は存在しないが、このほどフランスに月刊誌として進出することとなり、パリの雑誌業界を騒然とさせているという。アメリカ誌のフランス語版など珍しくもないのに、今回はなぜ…
自動車生産の実績と言えば一種の景気バロメーターにもなっており、それこそリーマン・ショック直後は世界的に著しい低迷を示したことで知られる。それから約5年、フランスをはじめとするヨーロッパの現状はどうなっているのか。6月19日付の『ル・モンド』別…
冬(正月前後からスタートするもの)、そして規模は違うが夏にも開催される欧州各国のバーゲンについては、以前もこの欄で取り上げている。バーゲンが年中行事、とりわけ季節の話題となっている状況を反映してか、フランスなどの新聞でこの種のセールが取り…
民放テレビTF1のオーディション番組「スターアカデミー」出身歌手の一人として、先日当ブログでノルウェン・ルロアのことを取り上げたが、今回は同番組初めての優勝者、ジェニフェールの話題を。彼女は2001年に放映された第1シーズンで見事に勝ち残り、翌年…
欧州の雇用問題の深刻ぶりについてはあまりに周知のところではあるけれど、近年は特に若年者の職をめぐる惨状がものすごい。債務・経済危機に見舞われた南欧諸国を中心に、目を覆いたくなるようなデータが現実のものとなっている。いかにしてこれを少しでも…
「ワーク・ライフ・バランス」というのが良く聞かれる標語(?)になって久しいが、それはつまりそれだけ、多くの人々にとって労働の重荷がのしかかっている、働くことのストレスが厳しいということを意味しているに違いない。しかもこれは日本だけのことで…
フランス有数のコングロマリット、ラガルデール・グループの一員を成す有力な民間ラジオ局であり、1955年開局以来の歴史を誇るユーロップ1は、現在同じ総合放送分野においてRTL(民放)やフランス・アンテール(公共放送)に聴取率で後塵を拝し、さらにモナ…
日本の大都市部で弁当などの飲食物を路上販売するミニトラックが激増し、利便性が評価されると同時に衛生面や道路使用の観点で少なからず問題化しているのは御承知のことだろう。似たような動きはパリではどうも始まったばかりというところらしい。5月3日付…
つい最近も取り上げたばかりだけれど(昨年10月21日)、またスイスの鉄道の話題。圧倒的な景色の良さをほとんどの路線で堪能できるこの国の汽車旅だが、未だに(日本とは違って)多くの列車で健在な食堂車サービスも、鉄道の魅力をさらに高めているように思…
最近、香山知子氏の『スイス時計紀行』(東京書籍、1994)という本を読んで、改めてスイスの競争力の一端を担う時計製造の歴史と現状に興味が湧いた。一級の時計の値段がどうして高いのかも何となくわかってきたが、残念ながら購買欲を喚起するところまでは…
温室効果ガスの削減が世界的課題となる中、新たなエネルギー資源として、北米などを中心にシェールガスの採掘・利用可能性が取り沙汰されるようになって久しい。多々弱点は指摘されつつも、代替資源としての注目度は相変わらず高いといえるが、スイスでもこ…
毎日の献立を考えるのがともかく面倒だ、という人はきっと少なくないことだろう。だからこそテレビの料理番組が何本も組まれ、本や雑誌にレシピ紹介が溢れているわけだが、それでも今一つ決められないという向きもあるに違いない。そこでフランスにおいては…
学生時代、どのように自分の時間割を組んで単位を取得するかはある種の楽しみであり、また悩みでもあったという記憶があるが、事の良し悪しはともかく自分の専門外の科目をたくさん取らなければならないというのはかなり切実な考え所だった。後になって振り…
豚などの家畜の糞尿からメタンガスを発生させ、これを発電や肥料生産に役立てていこうという環境改善及び資源リサイクルを兼ねた活動がフランスで始まってしばらく経った。一部ではそれなりの有効性も発揮されているが、総じて一筋縄ではいかないというとこ…
日本は貯蓄熱心な国というかつて喧伝された話も、今となっては昔のこと。高齢者層がこれまでためてきた預貯金を引き出すのに対し、若年・壮年層では多少の蓄えを持つことさえ容易でないというのが実際の姿になってしまっている。その結果として、高い家計貯…
いわゆる00年代の10年間、他のヨーロッパ諸国やアメリカ、日本などと比べて、スイス経済が相対的に好調だったことは比較的よく知られており、またその堅調な経済状況は雇用の増大にもつながった。これを「スイス雇用の奇跡」とも言うそうだが、仔細に中身を…
国内に相当量の森林資源を有していながら、木材需要の約80%を輸入に頼っている日本。輸入元は多岐にわたるが、東南アジアの一部の国では日本が第一位の輸出先になっており、その分それらの国の森林に日本が与えている影響は少なくない。近年、木材の国際取引…
パリの中心市街地は東京とはだいぶ異なりかなり小規模なものだとは思うが、それでも人口は市境(もとの市壁)を超えて郊外に広がり、周辺県や自治体をパリとの連関の中でどのように発展させるかは、かねてから大きな課題となってきた。近年になってようやく…
巨大シネコンが各地で豊富なラインナップでの上映を行い、根強い人気を誇っているように見られる日本の映画産業だが、地方では休館する施設が相次ぐなど頭打ち傾向もあって、展望は予断を許さないと言われる。さて映画発祥の地の一つであるフランスで、近年…
わが国における今後の規制緩和対象の代表例として、最近になり急速に議論が盛り上がっている医薬品のネット販売。各方面の利害が絡んで複雑な様相を呈しているが、フランスでもちょうど似たような状況が起こっているようだ。2月26日付の『ル・フィガロ』紙は…
パリに行くと必ずお世話になるのが、街中に約340店舗あるというキオスク(新聞スタンド)。もちろん雑誌や新聞を買うために立ち寄るのだが、小屋の外壁に近刊雑誌の特集の紹介などが大きく宣伝されているのを見るのも楽しい。このキオスクがここ数か月、流通…