フランス

今年のワイン生産見通しは?

夏の休暇が終わる頃になると、いよいよワイン造りに向けたぶどう栽培もラストスパートに入る。場所によってはさっそく収穫というタイミングになることもあって、今年の出来があちこちで取り沙汰されるようになる。9月1日付の『ル・パリジャン』紙は、南部地…

外国旅行者の重病罹患に対する取り組み

海外旅行から帰って来ると、検疫所の前で「発熱等の症状のある方はお申し出ください」といった標示を見かける。幸いにもこれまでこの施設のお世話になったことはないが、慣れない旅先から妙な病気を持ち込んでしまったら、自分が困るだけでなく社会的にも多…

騒動を引き起こした「卵の生産過剰」

日本では「物価の優等生」などと呼ばれ、生産・消費共に比較的安定していると見られる卵だが、フランスでは最近かなりの混乱状態が生じているようだ。生卵を大量に廃棄して(壊して)デモンストレーションする農民たちがテレビでも話題となっている。8月14日…

WTO事務局長の「今日もジョギング日和」

フランスなどの新聞各紙に見られる夏の連載記事は、言うまでもなく事前に書きためておいてヴァカンスを取得する記者たちに配慮するための便法だが、読み手側も往々にして休暇中であることを考えれば、連載ならなんでもよいというわけでなく、のんびり読んで…

往時のヴェルサイユ「花の宮殿」に想いを馳せて

ヴェルサイユ宮殿のフランス式庭園については関心があり、かつてだいぶ調べたこともあったけれど、実はまだこの目で見たことはない。宮殿の豪壮さについては自分の感受性を超える部分もあるのではと身構えてしまうところもあるが、庭園は自然の要素を人為的…

危機に直面する書籍チェーン店舗

これまでパリ滞在時には、必ずといっていいほどレ・アールにある超大規模な書籍・CDショップ、フナックに立ち寄って買物をしてきたものだ。国内各地に広大な面積の店舗を構え、幅広い品揃えの図書やCD、近年ではパソコン関係やオーディオ商品なども販売して…

仏版『ヴァニティ・フェア』誌がもたらす波紋

米コンデ・ナスト社が発行するライフスタイル誌『ヴァニティ・フェア』。日本語版は存在しないが、このほどフランスに月刊誌として進出することとなり、パリの雑誌業界を騒然とさせているという。アメリカ誌のフランス語版など珍しくもないのに、今回はなぜ…

「スターアカデミー」出身のジェニフェール、今なお活躍中

民放テレビTF1のオーディション番組「スターアカデミー」出身歌手の一人として、先日当ブログでノルウェン・ルロアのことを取り上げたが、今回は同番組初めての優勝者、ジェニフェールの話題を。彼女は2001年に放映された第1シーズンで見事に勝ち残り、翌年…

意外?ストレス感強いフランス人

「ワーク・ライフ・バランス」というのが良く聞かれる標語(?)になって久しいが、それはつまりそれだけ、多くの人々にとって労働の重荷がのしかかっている、働くことのストレスが厳しいということを意味しているに違いない。しかもこれは日本だけのことで…

民放ラジオ局ユーロップ1、首位奪取を目指して

フランス有数のコングロマリット、ラガルデール・グループの一員を成す有力な民間ラジオ局であり、1955年開局以来の歴史を誇るユーロップ1は、現在同じ総合放送分野においてRTL(民放)やフランス・アンテール(公共放送)に聴取率で後塵を拝し、さらにモナ…

路上販売車両は街に定着できるか

日本の大都市部で弁当などの飲食物を路上販売するミニトラックが激増し、利便性が評価されると同時に衛生面や道路使用の観点で少なからず問題化しているのは御承知のことだろう。似たような動きはパリではどうも始まったばかりというところらしい。5月3日付…

これは便利?!献立作成支援サイト

毎日の献立を考えるのがともかく面倒だ、という人はきっと少なくないことだろう。だからこそテレビの料理番組が何本も組まれ、本や雑誌にレシピ紹介が溢れているわけだが、それでも今一つ決められないという向きもあるに違いない。そこでフランスにおいては…

経済学教育の現状に反論

学生時代、どのように自分の時間割を組んで単位を取得するかはある種の楽しみであり、また悩みでもあったという記憶があるが、事の良し悪しはともかく自分の専門外の科目をたくさん取らなければならないというのはかなり切実な考え所だった。後になって振り…

メタンガス発電の効用と限界

豚などの家畜の糞尿からメタンガスを発生させ、これを発電や肥料生産に役立てていこうという環境改善及び資源リサイクルを兼ねた活動がフランスで始まってしばらく経った。一部ではそれなりの有効性も発揮されているが、総じて一筋縄ではいかないというとこ…

高貯蓄率を活かす道を探す

日本は貯蓄熱心な国というかつて喧伝された話も、今となっては昔のこと。高齢者層がこれまでためてきた預貯金を引き出すのに対し、若年・壮年層では多少の蓄えを持つことさえ容易でないというのが実際の姿になってしまっている。その結果として、高い家計貯…

「グラン・パリ」支える高速鉄道計画明らかに

パリの中心市街地は東京とはだいぶ異なりかなり小規模なものだとは思うが、それでも人口は市境(もとの市壁)を超えて郊外に広がり、周辺県や自治体をパリとの連関の中でどのように発展させるかは、かねてから大きな課題となってきた。近年になってようやく…

映画産業は今もまだ好調か

巨大シネコンが各地で豊富なラインナップでの上映を行い、根強い人気を誇っているように見られる日本の映画産業だが、地方では休館する施設が相次ぐなど頭打ち傾向もあって、展望は予断を許さないと言われる。さて映画発祥の地の一つであるフランスで、近年…

医薬品のネット販売は「価格」こそ争点?

わが国における今後の規制緩和対象の代表例として、最近になり急速に議論が盛り上がっている医薬品のネット販売。各方面の利害が絡んで複雑な様相を呈しているが、フランスでもちょうど似たような状況が起こっているようだ。2月26日付の『ル・フィガロ』紙は…

パリのキオスクの経営危機が深刻な様相に

パリに行くと必ずお世話になるのが、街中に約340店舗あるというキオスク(新聞スタンド)。もちろん雑誌や新聞を買うために立ち寄るのだが、小屋の外壁に近刊雑誌の特集の紹介などが大きく宣伝されているのを見るのも楽しい。このキオスクがここ数か月、流通…

人々にとって「富裕」とは何か?

前のブログで、フランスの現政権では富裕層に対する増税などが企図されている、と書いたが、そもそも富裕という概念は相対的なものだ。人によって、あるいは政策判断によって、「お金持ちである」「豊かである」とされる範囲はどうにでも変わってくるのでは…

人材の国外流出はやはり問題

昔と比べて、よりよい生活条件を求め人々が大規模に移動するようになった現代国際社会。その代表例は移民だろうが、一方で世界を飛び回るビジネスマンや企業家たちのなかでも、生活の本拠地ひいては国籍までも他国に移してしまおうという動きは少なくない。2…

多難さ浮き彫りの欧州文化首都マルセイユ

1985年から始まった「欧州文化首都」プロジェクトでは、毎年欧州圏内の2都市が選定され、1年をとおしてイベントが重点的に実施されることになっている。今年、スロヴァキアのコシツェと共に選ばれているのがマルセイユ。周辺のプロヴァンス地域も巻き込む形…

「紛争領域」続く商店の夜間・日曜営業

労働時間、とりわけ夜間や日曜日に働くことについて、フランスでは厳しい規制が課せられている。商業についても同様で、このため店は通常遅くない時刻に閉まってしまうし、日曜日についてはカトリック的伝統も手伝って一部例外のところを除けば閉店だ。サル…

高級レストラン「ラセール」、伝統から革新へ

パリ8区、シャンゼリゼ大通りからセーヌ河方面へ少し入ったところに一軒家を構えるレストラン「ラセール」。辻調グループ(調理師専門学校)創始者でフランス料理研究者としても知られた辻静雄氏は、その著書『パリの料亭』(新潮文庫、1982年)の巻頭をこの…

ハイパーマーケット「オシャン」、ロシア東欧へ大規模進出

カルフール、E・ルクレールと共に、フランスでハイパーマーケットを展開する三大グループの一翼として知られるオシャン。国内だけでなく南欧など世界各地に大規模な進出を果たしているが、現在は特に東ヨーロッパ方面への拡大を意欲的に進めており、他社の既…

ノルウェン・ルロア、デビュー10年の境地

フランスの代表的民放TF1で放送されるリアリティ型オーディション番組「スターアカデミー」を、かつて何度か見る機会があった。スターを目指す若い男女が合宿所に集められ、その日常生活が番組として毎日流される。週1回の発表ステージで合宿での結果を披露…

気候不順でワイン生産は大苦戦

ワインの生産が気候や気象に著しく左右されることはいわば当然なので、昨今のように(温暖化のせいかは知らないが)異常気象が毎年のごとく起こるようでは、その生産量や品質は恒常的に不安定さを伴っていると言っていいだろう。ワイン製造者はできるだけそ…

食事をめぐる意識は保守的かつ現実主義

フランス人は食事を大事にし、たっぷり時間をかけるとある種の神話のように言うけれど、現代社会のリズムはそうした悠長さをなかなか認めてはくれない。実際、都市部のサラリーマンは、サンドイッチなどで昼食を手軽に済ませるのが普通になっているとも聞く…

クリスティアン・コンスタン、料理への情熱

フランスのレストランやグルメ全般に関する話題をしばしば掲載している当ブログ、要するに書き手の趣味と関心に拠るところになっているわけで…。今回のテーマもレストラン、それもシェフへのインタビューが話の中心になっている。10月23日付の無料紙『メトロ…

ワイン漫画の表情はさまざま

日本のマンガ界を一瞥すると、マンガで扱われていないテーマなどないように思えてくる。ワインについてだって、言うまでもなく亜樹直原作『神の雫』(2004年連載開始)は社会現象になるほどのヒットを勝ち得ていたし、ルーツを辿るなら、城アラキ原作『ソム…