経済危機でもクリスマス商戦は好調、バーゲンはどうなる?

夏冬2回のバーゲンが普通の日本と違い、ヨーロッパのバーゲンは年1回が主流。開始日は公定で、各国ごと(フランスでは県ごと)微妙に異なるようだが、だいたいクリスマスの後から1月初旬あたりということになっている。ベルギーでの今年のバーゲンの初日は1月3日土曜日。この日の『ル・ソワール』紙はトップ記事で、昨年12月以降の年越し商戦の動向について詳しく検討している(La crise sans influence sur les dépenses de fêtes. Le Soir, 2009.1.3, pp.1-3.)。
大方は、昨年来欧州も未曾有の経済危機の只中にあり、消費マインドは冷え込んでいるだろうと見るのが普通だろう。ところが少なくともクリスマス商戦については、ベルギーは全般に堅調だったようだ。まだ完全な統計は出ていないが、速報されたカード決済額の数値は前年並みを維持している。各業種の反応もおおむね良好。

  • 百貨店(イノ・ブリュッセル−ヌーヴ通り店):クリスマスギフト用商品、宝飾品、化粧品はいずれも好調な売れ行き。衣服関係は12月の最後にやや売り上げが鈍ったが、これは1月のバーゲンを見越したものと考えている。
  • 化粧品チェーン店(イシ・パリ・イクセル、イヴ・ロシェ):売り上げは前年より良かった。
  • 電器チェーン店(某店−匿名を条件に回答):Wiiや液晶テレビなどヒット商品のおかげで好調。不況だといわれるが、9月以来売り上げは次第に伸びている。
  • 食品スーパー(コルラウト):経済危機のため外食を控える傾向があり、スーパーにはプラス要因。
  • 同上(デルエーズ):各家庭でクリスマス用の予算が確保されているようで、カキ、オマール海老、七面鳥といった古典的なごちそうへの回帰現象も見られる。

というわけで、こうした前年の動向を受け、続いてバーゲンの展望。こちらについては、いくら12月が好調だったといっても、まだ慎重な見方を崩さない向きが多いようだ。商店を含む中小業者の団体である「中産階級連合」(l'Union des classes moyennes)のクラリス・ラマケール女史は、「商店主に調査したのですが、バーゲン商戦の見通しは楽観的なものと悲観的なものに分かれており、はっきりした方向性を引き出すことができません」と語る。H&M(ベルギー国内33都市に店舗展開)もバーゲンの売り上げは予測困難との反応。上記の百貨店イノのトム・ファン・ヘセ氏は、「(クリスマスは好調でも)今後どうなるかはわからない。バーゲンはうまくいくかも知れないけれど、そのあとはねえ」という見方だ。
例年のバーゲンでは、最初は30%引きから始まり、売れ残った商品は次第に70%引きぐらいまで安くなることが多いようだが、今年は見通しの不透明さが影響して、いきなり40%引き、50%引きからスタートする商品もあるらしい。これは(少なくともバーゲン品探しをする余裕のある)消費者には朗報。
ところで自分も日本で毎年いくつかのデパートを冷やかしてみるのだが、50%引き以上というのはあまりないような気がする。バーゲン商戦がどうの、といった記事もあまり見かけない。日本には年2回のバーゲン以外に催事場でのセールも頻繁にあり、バーゲンにそれほどのイベント性がないせいか。