2010-01-01から1年間の記事一覧

OECD学力調査への各国の反応(1)

3年に1回実施され、その結果に世界各国が一喜一憂するOECDの学力到達度調査(PISA)。今回、日本においては、学力回復の兆しが見えたと比較的芳しく受け止める見方が強かったが、さて他国の状況はどうか。12月8日付『ル・フィガロ』紙は、調査結果全体を報道…

地下鉄構内大規模すり集団の首謀者摘発か

フランス、特にパリ旅行に出かけるからには、やはり日本でのようには気楽な気持ちで動き回るわけにいかない。日本人観光客を狙ったすり、ひったくりの被害は日常茶飯事(『地球の歩き方』パリ篇には必ずこの種の口コミ情報が掲載されている)なので、まずは…

存在意義を問われる対外広報組織

「パブリック・ディプロマシー」という用語が(専門語ではあっても)ある種流行りになっていることからもわかるように、世界各国がそれぞれの対外イメージを改善、向上させるための広報戦略に意を用いる傾向は確実に強まっている。スイスでも専門組織「プレ…

『どしろうとに語るベルギー史』ってどんな本?

池上彰氏の大ブレークに象徴されるように、複雑な問題をわかりやすく解説してくれる書籍や番組に対する需要は、日本ではますます大きくなっているような気がする。少し前に「猿でもわかるニュース」というテレビのコーナー企画があったことは今でも覚えてい…

『パリでお昼ごはん』

稲葉由紀子『パリでお昼ごはん』(TBSブリタニカ、1997)読了。『フィガロ・ジャポン』誌に連載された記事をまとめたもので、1987年から家族とパリ郊外に在住する著者による体験記的ガイド本。「お昼ごはん」というのが通常のパリ・グルメ本と違う趣を漂わせ…

レストランにもあるフラマンとワロンの地域格差

何となくこのブログ、「アクチュアリテ・文化にふれる」とか言っておきながら飲食関係の話題ばかり多い(2回に1回?)ような気もするが、どうしても興味のあることに話題が向いてしまうので(!)乞御容赦。今日も今日とてレストランの話題。フラマン地域と…

グラン・パレ、モネ展の終夜営業実施へ

博物館や美術館というとこれまでは、夕方も早い時間までしか開館しておらず、勤め人は日曜日か祝日に長蛇の列を覚悟して見に行くしかないというイメージがあった。最近は都心のミュージアムなど夜遅くまで開館しているところも増え、だいぶイメージも変化し…

塩分がやっぱり気になる食生活

日本人の食生活の問題点としてこれまでしばしば指摘されてきたのが塩分の摂取過多。ごはんと味噌汁、漬物をベースにした食事ではついつい塩分が増えがちと言われてきたが、最近は欧風化が進んだ結果、塩分を厳しく制限すべき一部の患者さん以外は、(例えば…

観光都市パリの評判はまずまず

今では花の都という形容こそあまり聞かれないとは言え、相も変わらず世界有数の観光都市であり続けているパリ。行政や関連業界でもそういった自負なり自意識といったものはあるようで、その分悪い評判には敏感らしい。11月18日付の『ヴァン・ミニュート』紙…

葡萄畑を買う、ということ

日本のワイン愛好者で、甲州や信州のぶどう畑を所有し、自らワイン製造もしているといった人はどのくらいいるのだろうか。もしもフランスであれば、ワイン好きが嵩じて、自分で納得のいくワインを作ってみたくなるある種の好事家が数多くいても不思議ではな…

ブリュッセル飼い犬事情

犬や猫といったペットの家族の中での存在感は、少子高齢化などの影響を受け、増しこそすれ弱まることはないように思うけれど、いったい日本ではペットがどのくらい飼われているのだろう。飼い犬の統計は厚生労働省で一応まとめているようだが、それが話題に…

ビールとチーズの里、シメイ探訪

多種多様なベルギービールのラインナップが日本でも専門店などで知られるようになるにつれ、比較的アルコール度数が高く濃厚な味わいのシメイ・トラピストビールを見かけることも多くなった。しかし、『地球の歩き方』などの記述を見ても、ビール産地として…

年金制度改革、今後も残る課題

エリック・ヴォルト労働相主導の下、6月16日に提出されたフランスの年金改革法案は、9月15日に下院(国民議会)を通過した後、10月22日にはついに上院(元老院)で可決された。これをもって、学生なども巻き込んだ大規模デモとストライキが展開される一大社…

TGV延伸を機に都市再開発目指すトゥールーズ

ボルドーやピレネーといったフランス南西部には、実はまだ行ったことがない。パリを拠点とした場合、鉄道での移動に時間がかかるのがその理由の一つ。フランス第5の都市圏であり、古代ローマ都市以来の歴史を誇るトゥールーズへの道のりは、列車でパリから最…

コールセンターの国内引き留め作戦

日本で生産現場のアジア諸国等への海外移転が問題になって久しいが、アメリカでは同様の問題を「オフショアリング」という用語でとらえている。英語が国際共通語になっているだけに、生産のみならず、IT技術を介して事務系や開発系の各種業務が言葉の壁なく…

中小企業景気に陽光の兆し

経済成長率が低迷し、その将来見通しも明るくないなど、フランスの景気についてはあまり芳しい状況にあるとは思えないが、たまには明るいニュースも出てくるものらしい。10月6日付『ラ・トリビューン』紙が、中小企業の景況感が好転しているという調査結果に…

社会党出身閣僚が迎えた試練の党大会

スイスにおける連邦レベルの行政府の長は、連邦議会で選出される7名の参事が務めることになっており、与党である各政党から議席配分に合わせた人数の参事を出すことが慣例となっている。この9月22日、辞任する2名に代わる新たな参事が選ばれ、社会党(註:ス…

司会者が実感するラジオとTVの違い

今日はちょっと短めの話を一つ。フリーペーパー『メトロ』紙の10月18日付に、この9月からRTL(フランス全土で放送されている民間ラジオ局)で平日午後の帯番組に起用されたフラヴィ・フラマンへのインタビューが掲載されているので、こちらを紹介してみよう…

エナン、怪我からの復帰近し

ベルギー女子テニス界の二大トップ選手の一人であり、世界で最も知られているベルギー人の代表とも言えるジュスティーヌ・エナン。そのエナンがウィンブルドンで肘を痛め、コートを離れてから3カ月以上が経った。前にも引退と復帰の経験がある彼女、今回はど…

ベビーシッター求人の方法教えます

共稼ぎの夫婦が乳幼児期の子どもの面倒を見てもらうのは、日本の場合、自分たちの両親等でなければまず保育園ということになるだろう。フランスにも保育園はあるがやや不足気味らしく、比較的よく利用されているのがベビーシッター。夏休みが終わって仕事が…

コミュニティサイクル運営に暗雲か

パリでレンタサイクルのブームが起きているという報道が日本でされたのは、主に昨年だったか(手元にあるのは「パリの風景を変えたコミュニティサイクル『ヴェリブ』大解剖」『週刊ダイヤモンド』2009年9月26日号)。2007年に登場したセルフサービスのレンタ…

パリジャンのゴミ捨て事情に驚き

多くのヨーロッパ諸国は環境先進国ということで定評があるが、現地の事情を知るにつけ、本当にそうなのか、人々は本当に「エコ」なのだろうかという疑問が湧いてくることは少なくない。家庭のゴミ捨てもそうした感想がよく浮かぶ分野の一つ。ちょうど9月15日…

格安キャリア、運行混乱に言い訳

最近になって日本でもいよいよ本格参入の動きが出ている格安航空会社。ヨーロッパでは1990年代に実施されたEUの航空自由化を背景として多くの企業が運航を開始し、現在では既存キャリアと熾烈な競争を展開するなど、大企業にのし上がりつつある会社も見られ…

意気盛んな物流基地2題

何のタイミングによるのか知らないが、8月後半のフランス『ル・フィガロ』紙の経済面で、オランダの物流拠点が2回続けて取り上げられているので、少し読んでみる。まずはアムステルダム近郊の花卉市場についての記事から(Aalsmeer, le marché aux fleurs à …

ブルターニュ大公城、人気の秘密は?

パリの西南西約300キロ、ロワール川が大西洋に注ぐ河口近くに開けた都市、ナント。この街の代表的観光地であるブルターニュ大公城は、『地球の歩き方 フランス』でも詳しく紹介され、「訪れる価値あり」の見所になっているので、すでにお出かけになった方も…

ボルドー産ワインに抜本的な改革計画

ワインの産地として不動の地位を誇るボルドー。5万人がワイン関連の仕事をしているということで、地域の基幹産業の一つでもある。日本から漠然と見ている限り、そのステイタスや生産基盤は万全であるように想像されるが、実のところ内情はそんなに単純なもの…

高校生がグランゼコールで夏期講習!

フランス教育制度の頂点に立ち、長年エリート養成に貢献してきたグランゼコールも、近頃はその特権性をめぐる改革の波にさらされていると言われる。文化資産の高い家庭環境に育った者たちがグランゼコールを経て出世を果たし、その子どもも高い文化資産を家…

「ようこそ、アムステルダム国立美術館へ」

渋谷でドキュメンタリー映画「ようこそ、アムステルダム国立美術館へ」を見る。土曜日の夕方、60数名の小さなシアターはほぼ満席。もう少しキャパシティに余裕のある劇場なら楽だろうとは思うが、さしあたりオランダ発の一見地味な映画で席がいっぱいになっ…

商店の営業時間延長、その成果は

今回取り上げるベルギーやその周辺のヨーロッパ諸国で、商店の営業時間が短いという一般的傾向についてはよく知られている。一部のスーパーなど別にすれば、平日は6時頃に終了、日曜日は休みというのが(国によって多少異なるにせよ)普通ではないか。ただ、…

ぼくらの水鉄砲戦争

「フラッシュモブ」ということばがあるが、その定義には何やら曖昧なところがあるらしい。インターネット等を介して動員した人々によるイベントというだけでは、大規模オフ会とどこが違うのかわからないといった見方もあり、いずれにせよ性急な概念の整理は…