ベビーシッター求人の方法教えます

共稼ぎの夫婦が乳幼児期の子どもの面倒を見てもらうのは、日本の場合、自分たちの両親等でなければまず保育園ということになるだろう。フランスにも保育園はあるがやや不足気味らしく、比較的よく利用されているのがベビーシッター。夏休みが終わって仕事が本格始動する9月は、ベビーシッターの有力候補になる学生たちにとっても入学、進級といった節目の時期に当たり、この種の求人が殺到する。結果、息子や娘を安心して任せられる人がなかなか見つからず、東奔西走する羽目になる親たちも少なくない。9月19日付の『ル・パリジャン』紙は、この季節、上手にベビーシッターを見つけるためのいくつかのコツを紹介している(Au secours, je n’ai pas de nounou! Le Parisien, 2010.9.19, p.12.)。
まず第一に挙がっているのは、近所に求人の張り紙をすること。パン屋や食料品店に募集告知を張らせてもらえれば、近くの住人の大多数に見てもらえるし、経費もそれほどかからない。特に学生を希望するというのであれば、高校や大学の掲示版を利用するのも一手(高校生のベビーシッターも最近は増えている由)。あるいは学生の奨学金や住宅等の世話をする公的機関、地域圏学生厚生センター(CROUS)に連絡すると、幅広く募集情報が行き渡るので便利だ。
もちろん、人材紹介企業や各種組織に頼る方法もあり、現在はインターネットの普及もあって簡単にアクセスが可能になっている。サービスは業者ごとに異なるが、スタッフによる面接試験にパスした者だけを紹介する、候補者の履歴書を見せてくれる、夫婦のニーズにぴたりと合った者をセレクトするなど、総じて細やかなサービスが売り物。当然その分費用はかさみ、登録料プラス月額会費が、ベビーシッターに支払う分と別に必要になるのが基本となっている。最近はついに、親たちと求職者との「お見合いパーティー」(?)まで企画されるようになったそうな。
ベビーシッターへの支払額は、保育時間や子どもの人数、通勤にかかる費用や時間などによって、さらにもちろんケースバイケースで異なるが、公定価格によれば最低で6.96ユーロ、社会保険料込みで9.03ユーロ。お昼寝時など、拘束はされるけれど特に仕事はしていない時間分については、双方合意のもとで3分の1ほど減額になることも。さらに、「サービス雇用一般小切手(CESU)」という、個人が個人を雇う場合の支払いに利用する一種のクーポンを利用すると、7.66ユーロとやや割高にはなるが、役所との書類手続き等が簡略化されるので便利だ。なお推奨はされないが、雇用関係の申請をせず社会保険料等を払わない「闇の」雇用もやはり相当あるらしい。
登録料や月額会費が必要なシステムはもちろん、直接支払い分だけでも世帯収入次第で相当高く感じられるのではないかとも思うが、日本的基準で(例えば家庭教師代等と比較して)考えれば、それほど高水準の費用ではないような印象。そうであればこそ、共働きでそれなりに稼いでいるという背景のもとでベビーシッターを雇うのが割に一般的というのも、決して不思議ではないのだろう。

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午後から大倉山のギャラリーへ。装飾品を中心とした品々の意匠のそこここに、フランスらしさがうかがえるのが楽しい。イタリアン・バールでの打ち上げにも参加して、終バスの1本前で帰宅。