スイス

WTO事務局長の「今日もジョギング日和」

フランスなどの新聞各紙に見られる夏の連載記事は、言うまでもなく事前に書きためておいてヴァカンスを取得する記者たちに配慮するための便法だが、読み手側も往々にして休暇中であることを考えれば、連載ならなんでもよいというわけでなく、のんびり読んで…

バーゲン売り上げに商店の期待高まる

冬(正月前後からスタートするもの)、そして規模は違うが夏にも開催される欧州各国のバーゲンについては、以前もこの欄で取り上げている。バーゲンが年中行事、とりわけ季節の話題となっている状況を反映してか、フランスなどの新聞でこの種のセールが取り…

憧れの食堂車、ますます充実傾向

つい最近も取り上げたばかりだけれど(昨年10月21日)、またスイスの鉄道の話題。圧倒的な景色の良さをほとんどの路線で堪能できるこの国の汽車旅だが、未だに(日本とは違って)多くの列車で健在な食堂車サービスも、鉄道の魅力をさらに高めているように思…

時計業界の構造変化を詳細に検討

最近、香山知子氏の『スイス時計紀行』(東京書籍、1994)という本を読んで、改めてスイスの競争力の一端を担う時計製造の歴史と現状に興味が湧いた。一級の時計の値段がどうして高いのかも何となくわかってきたが、残念ながら購買欲を喚起するところまでは…

レマン湖の底に天然ガスがあるかも

温室効果ガスの削減が世界的課題となる中、新たなエネルギー資源として、北米などを中心にシェールガスの採掘・利用可能性が取り沙汰されるようになって久しい。多々弱点は指摘されつつも、代替資源としての注目度は相変わらず高いといえるが、スイスでもこ…

本当には喜べない雇用状況

いわゆる00年代の10年間、他のヨーロッパ諸国やアメリカ、日本などと比べて、スイス経済が相対的に好調だったことは比較的よく知られており、またその堅調な経済状況は雇用の増大にもつながった。これを「スイス雇用の奇跡」とも言うそうだが、仔細に中身を…

企業倒産が増加中、その深層を探る

経営内容自体が明らかに時代にそぐわなくなった企業が倒産、または何らかの処理策を経て消滅していくことは避けられないところがあるが、それでも会社がつぶれない方がよいことは確か。だからこそ「延命策」と言われても、業容不振な中小企業の経営をなんと…

街を生きる人々の声集めた本を出版

市井の人々がその生活について語ることばをそのまま集め、多様性と共に一つのイメージを浮かび上がらせようという、ノンフィクションのある種のアプローチは、魅力的に見えるけれど実はそれほど容易に取り組めるものではないだろう。下手をすればただ脈絡の…

ルガーノ市に学ぶ?安全なまちづくり

治安をめぐってなんとなく不安感が高まっている社会においては、特に自分が住む近隣(コミュニティ)こそ安全であってほしいという願望には、切実なものがあるだろう。ただし、治安はもはや警察に任せておけば済む問題ではなく、地域として、自らも含めコミ…

交易自由化はチーズ生産に好影響

チーズフォンデュが名物料理の代表格というくらいだから(自分としては味が単調で途中で飽きてしまったが、そんな個人的感想はともかく)、他の農作物、また乳製品と比べても、チーズはスイスにとって圧倒的な地元農産品といってよいのだろう。しかし、周辺…

ローカル鉄道廃止の動きが進展か

大内雅博氏の著作『時刻表に見るスイスの鉄道』(交通新聞社新書、2009年)は、その独特の切り口が最大の魅力になっている。彼はスイスの鉄道事情を、現地を実踏しての調査を交えながら、しかし徹底して時刻表を読み込むことで明らかにしようとしている。ア…

中小の時計業者にも不況の波

スイスの主要工業である時計業界に関して、世界的不況にもかかわらず今年前半は業績好調との状況が続いていたことは、すでに当ブログで報告済み(5月12日付)だが、それから数か月、情勢にも変化が生じているらしい。不況風が多少ともこの業界で吹くようにな…

警察官大量退職の背景は給与への不満か

フランスなど各国の警察や警察官をめぐる事情については、このブログでもすでに何回か取り上げているが、やはり大規模な公的機関らしく、抱える課題がいろいろあるのはどの国も共通なようだ。相対的には秩序正しい国と言えるスイスも、日本と比べて治安面で…

夏を彩るジュネーブ湖岸の花火大会

今年はこれまでのところ、ライブでは花火を見ていない。あの迫力はテレビで伝達不可能とは分かっているけれど、さしあたり足が向かないのだ。ただそれでも、花火大会のニュースを聞くと何かしら好奇心を動かされることは確か。8月9日付のスイス『トリビュー…

企業メセナでヴェルサイユ宮殿の噴水を修復

17世紀以来、バロック様式の豪華な宮殿と、広大で均整のとれた800ヘクタールもの庭園で、他の追随を許さない存在であり続けているヴェルサイユ。そして意外というか当然というべきか、その維持管理に必要とされる膨大な費用の相当部分は、篤志家や大企業によ…

スウォッチ社の世代交代、経営への影響いかん

低価格品から高級品まで、多彩な時計のブランドを手中に収め、同業界の企業グループの世界売上げランキングでトップの座を確保しているスイスのスウォッチ・グループについては、すでに5月12日の当ブログでも若干取り上げた。このグループが世界の時計産業に…

ワイン投資ファンドは堅実か、それとも邪道か

愛飲家と名乗るほどではないにしても、時にはワインを味わい、その美味しさに感動することもある身としては、そこそこの値段で適度に楽しめるワインと付き合っていければ充分というのが正直な気持ちではある。ただ世の中にはそれだけで満足できない人たちが…

バーゼルアート見本市に集うセレブたち

現代美術というのは当方正直なところよく分からなくて、ポンピドゥー・センターに行っても観覧時間がルーヴルやオルセーにはるか及ばないというところがある。それでも現代に胎動する芸術として貴重かつ重要であるのは確かだし、結果としてそれに高い値がつ…

流行のパステルカラーをビジネスで活かすには?

夏場にクールビズが推奨され、「どぶねずみ色」と揶揄されてきた日本紳士のビジネス服の世界も変革を迫られる状況になってきた。一方、ファッション先進地域として男性のお洒落度も高いとみられるヨーロッパ、とりわけフランス。なんと今年はパステルカラー…

国際競争力、好成績の秘訣と陥穽

毎年5月末から6月にかけて、経済界を中心にちょっとした話題になるのが「世界競争力ランキング」。ローザンヌにあるビジネススクール、国際経営開発研究所(IMD)が発表するこのデータ、日本は今年27位(前年比2ランクアップ)だったそうだが、今回注目され…

教会は生き残れるか、それが問題だ

カルヴァンゆかりの地ジュネーブを擁するスイスはプロテスタントの国となんとなく思い込んでいたけれど、国勢調査によればカトリックとプロテスタント(改革派)の比率はほぼ半々で、むしろカトリックの方が多いらしい。それでも改革派教会がスイス社会で占…

領事サービスの再編めぐり議論

在外公館(大使館、総領事館)の設置・配置は、各国にとって今や悩ましい課題。原則論で言えば、外交関係が密な国(あるいは将来的に密な外交関係を築く必要がある国)には大使館を、また在外市民が多く住む都市には総領事館をもれなく設置していけば、外交…

高級時計業界の好調ぶりを報告

スイスの時計産業については、当ブログでもこれまで何回か触れてきているところ。やはり当国にとって特徴的な業界だけに、注目すべき話題も多いのだ。しかもこの不況下、高級時計の分野は業績好調というのだから凄い話ではある(格差社会の反映かもしれない…

バーゼルで若き時期のルノワール展を開催中

ドイツ、フランスとスイスが接する交通の要衝であるだけでなく、実は美術の都としても有名なバーゼル。大規模なアートフェアが毎年6月に開催されるほか、世界最古の公共美術館ともいわれるバーゼル市立美術館が充実したコレクションを有しており、さらにバイ…

急激に進化するランニング用品に注目

スポーツや習い事など、始める前にまず「形から入ってしまう」というケースは意外に多いもの。一式揃えたあげく数回しか使わなければ宝の持ち腐れだが、ウェアや道具などをきちんと整えることで、ようやくやる気が湧いてくる場合もあるだろうから、どちらと…

ゾウ専門の新型動物園計画

陸に生きる哺乳類として最大の動物であるゾウは、その巨大さと動作の愛くるしさでいつでも皆の人気者。動物園ではもちろん、サーカスで達者な芸を披露するゾウたちは、観客の圧倒的な拍手を浴びている。スイスでは、このゾウに特化しつつ、今までにない構想…

ルソーの生地が記念館兼文学館に

18世紀の哲学者ジャン=ジャック・ルソーがジュネーブで幼少期・青年期を過ごし、また後年も一種の亡命のような形でスイスに戻った期間があることはよく知られている。哲学者たちの間でジュネーブは、ルソーの生地として認識されていると言い換えてもよいか…

格安キャリア、御愛顧感謝フライトを実施

当ブログで欧州の格安航空会社、イージージェットを取り上げるのは3回目になる。特に優先して取り上げているつもりはないのだが、ここでフランス語圏スイスの情報を紹介しようとする際に、同社関係の話題が目立つ形でメディアに出ていることが多く、結果とし…

ディスカウンター急速進出で流通競争激化

日本でも最近では、ひたすら低価格に重点を置く小売店「ハードディスカウンター」という概念がゆるやかに、しかし着実に定着しつつあるようだが、諸外国の状況は場合によっては熾烈を極めているようだ。スイスではこれまでの2大スーパーチェーンに対抗する形…

冬用タイヤの販売が不足している

秋らしくない暑さ・温かさがずっと続いているように思っていたら、いつの間にか季節はめぐり、北国では本格的に雪の便りが聞かれるようになった。この時期、北海道・東北や北陸、さらに山間部で活躍するのが冬用タイヤ。履き替えは多少面倒とはいえど、雪道…