パリジャンのゴミ捨て事情に驚き

多くのヨーロッパ諸国は環境先進国ということで定評があるが、現地の事情を知るにつけ、本当にそうなのか、人々は本当に「エコ」なのだろうかという疑問が湧いてくることは少なくない。家庭のゴミ捨てもそうした感想がよく浮かぶ分野の一つ。ちょうど9月15日付の『ヴァン・ミニュート』紙パリ版が、この点でアンケート調査を実施しているので、その結果を見てみよう(Nos lecteurs ont la fibre écologique. 20 Minutes Éditions de Paris. 2010.9.15, p.3.)。
ヴィレットで開催される廃棄物の抑制及び地域管理に関する第11回全国集会に合わせ、『ヴァン・ミニュート』紙の読者に対して行われたこのアンケート。「あなたはごみを分別していますか?」という質問に対し、「いつもしている」が74%、「時々している」が22%。日本人にとってはごみを「時々」しか分別しない人が2割以上いることが驚きだが、イル−ドゥ−フランス地域圏廃棄物監視センターのエリック・シュヴェイエ氏は、分別はよくされていると言えるのではとの見立て。その上で、段ボールやプラスチックが普通の家庭ごみと一緒に出されるケースが多いことが昨今の問題だろうと指摘する。だいたい日本では、分別しないとゴミを回収してくれないことが多くなっているし、ゴミ袋の透明化も進んでいるので、フランスの「無分別」ぶりには結構唖然。
調査項目としてはその他、「有機ごみはコンポスト化していますか?」「家の郵便受けに『チラシお断り』の表示を出していますか?」「ビンの販売に保証金を上乗せするのに賛成ですか?」「ミネラルウォーターと水道水、どちらを飲みますか?」などが挙がっている。最初の質問(コンポスト)の趣旨はよくわかるとして、それ以外はごみ問題への意識を調査するための設問として多少ずれを感じなくもない。まあ、ペットボトルの水を買うのをやめれば確かにプラスチックごみは減るけれど、それが廃棄物削減のための重要な対策と言えるのだろうか?
上記の質問の中で、ビンに保証金を付けるというのは多少意味がありそう(日本でも実施。ただしフランスの製造業界は猛反対で問題自体が半ばタブー化している由)。それ以外は、要するに分別とリサイクル、個人レベルのごみ削減の方策はそれに尽きるのではないか。ただ、前に聞いたような気がするのだが、ヨーロッパの人々は個人主義の観点からゴミ袋の透明化に反発が極めて強いらしい。黒い袋でゴミ捨て、中身はわからずというのでは、結局分別の推進にも限界があるのではと思ってしまうが、どうだろう。