中小企業景気に陽光の兆し

経済成長率が低迷し、その将来見通しも明るくないなど、フランスの景気についてはあまり芳しい状況にあるとは思えないが、たまには明るいニュースも出てくるものらしい。10月6日付『ラ・トリビューン』紙が、中小企業の景況感が好転しているという調査結果について報じているので読んでみる(Pour investir, les PME sonnent à nouveau à la porte de leur banquier. La Tribune, 2010.10.6, p.4.)。
中小企業総連盟(CGPME)と大手監査会社KPMGが調査機関に委託して9月半ばに実施したアンケートによれば、世界的な経済危機の悪影響について不安感を持ち続けている中小企業主の割合は69%で、依然としてかなり高いものの、6月の調査時と比べると16ポイント減となった。この結果についてKPMGフランスのジャッキー・ランティニャ副社長は、「不安が大幅に和らいだとまでは言えないでしょうが、企業家が次第に自信を取り戻しつつあることを示してはいます」と解説する。
中小企業主が景気回復を感じ出していることは、投資への意欲という形でよりはっきりと現れる。単なる設備更新的な投資ではなく、設備や情報機器の購入、M&Aや研究開発といった分野への新規投資が目立つようになってきている。この点と関連して注目すべきなのは、中小企業の銀行に対する態度や意識。銀行による融資額引き下げや条件の厳格化(いわゆる「貸し渋り」)に直面しているとする企業家の割合は前回調査から13ポイント減少した。また、銀行に対して融資申込額を自己抑制していると答えた中小企業も、49%から28%とかなり減少している。事業主にとって金融環境が底を打ったということはどうやら確かなようだ。
CGPMEのジャン−フランソワ・ルーボー会長も、一連の景気浮上策や、企業における短期債務の中長期債務への切り替え策などといった、金融危機以降のフランスの経済政策全般が、中小企業にとって大きな支えになってきていると評価する。まだ好景気への道のりは遠そうだが、とかく弱い立場に陥りやすい中小企業がフランスでも数多く活躍する日が早く訪れんことを。