花粉症は今が真っ盛り

数十年の花粉症歴を誇る(?)当方だが、4月半ばか少なくともゴールデンウィークに入る頃には、症状が一段落するのが通例。ところが、ベルギーの新聞では6月に入ってから、花粉症の記事が紙面を飾っている。6月3日付の『ラ・キャピタル』紙から、事情を詳しく見てみよう(Corsé, le rhume des foins 2009! La Capitale, 2009.6.3, p.22.)。
記事によれば、ベルギーをはじめとしたヨーロッパでの花粉症の主因は牧草類。ベルギーでは推定15%の人々が花粉症にかかっており、その最盛期はちょうど初夏にあたるのだという。
しかも今年は花粉の当たり年らしい。「多めの年とは言えるでしょうが、とびぬけてというほどではありません。現在(5月末から6月初めにかけて)がもっとも厳しい時期で、月半ばまで続きます。その後も7月15日頃までは多少の山があるとは思いますが、今ほどではありません」と説明するのは、ベルギー公衆衛生研究所のモニク・ドゥタン氏。気温が比較的高めで、しかも好天が続いているのが、花粉が増えている主な理由のようだ。
ブリュッセルのブルグマン大学病院免疫学・アレルギー学センターに所属するオリヴィエ・ミシェル博士によれば、「20世紀初頭には、花粉症は稀な病気と考えられていました。それが60年代から増え始めたようです」とのこと。日本でのスギ花粉症と比べると、病気が一般化しだしたのは同じ頃か、あるいは少し早いように思われる。多くの人が花粉症を発病するようになった要因としては、家の中の空気に有害物質が含まれていること、食品添加物排気ガスの影響、さらに気候温暖化などが挙げられているようだが、いずれも推測の域を出ず、結局は未解明。このあたりも日本と事情は同じだろう。
全体的に見ると、アレルゲンが明らかに異なっているほかは、日本とベルギーで花粉症事情にはそれほど違いがないように思える。ただ1点面白い文章。「最近空気中をふわふわ飛んでいる綿毛は、タンポポやヤナギのもので、花粉症とは関係ない」とわざわざ記事に書かれているのだ。しかもタンポポの綿毛を吹き飛ばす子どもの写真まで付けて。牧草類の花粉に似ているところがあるのかもしれないが、スギ花粉は目に見えないことが常識になっている日本人からすれば、意外な注意書きだった。