新年の新聞から(2)ブリュッセル大予測

新年の新聞にどんなことが載っているか、第二弾はベルギー編。1月2日付『ラ・キャピタル』紙は、首都ブリュッセルで2010年に予想される動きやできごとなどを、グッドニュースとバッドニュースに分けて列挙している。先のフランスの経済予測(?!)に比べれば素直な記事で、ブリュッセルの今年がざっと展望できるような内容だ。
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まずは良いニュースの方から(2010: Les 20 raisons de rester positifs. La Capitale, 2010.1.2, p.8.)。20項目のなかには、よくわからないもの(多分自分が住民でないからだろう)やどうでもいいようなものも混じっているが、興味を引いた内容を並べてみる。
トゥール・ドゥ・フランスが市内を通過:1992年以来というから、サイクルファンには楽しみだろう。7月4日(大会初日)がロッテルダムブリュッセル着、翌5日がブリュッセル発スパ(ベルギー東部の温泉地)着の予定。沿道に当たる商店やレストランでは、もうそろばんはじきに余念がないそうな。
鉄道175周年記念行事:1835年5月5日にブリュッセルとメッヘレン(ベルギー北部)の間に軌道が敷かれてから175年経ったのを祝い、ベルギー国鉄がイベントを行う予定。ただ詳細は未発表。
外食の付加価値税引き下げ:これはフランスと同じ措置(既報当ブログ2009年7月12日)。1月1日からこれまでの21%から12%になるという。ただ、減税が消費者に還元されるかどうかは、これもフランスと同様にきちんとチェックしていくことが必要。
グランプラス周辺の歩行者専用区域の拡大:旧市街の中心広場で、ブリュッセル随一の見所でもあるグランプラスの周りが歩きやすくなる。今年は2年に一度のフラワー・カーペットも8月中旬に同広場で開催され、咲き誇るベゴニアを眺めに訪れる観光客も多いことだろう。
スーパーの増加、新ブランドの進出カルフール(ついに日本では撤退!)、デルエーズ、GBエキスプレスなどの新店舗がブリュッセルとその周辺でお目見え予定。またモード系を中心に新たに25ブランドが進出してくるそうで、商業的には活気のある年になりそう。
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一方良くない知らせもないわけではないが、良い方の半分、10項目にとどめてあるのがある意味楽天的(Les 10 raisons de déprimer. La Capitale, 2010.1.2, p.9.)。これも主なものだけ挙げてみる。
公共交通機関の値上げブリュッセル首都圏交通局(STIB)の運賃が、今年2月から平均2.53%上がる。地下鉄・トラム・バスの年間パスの場合、440ユーロから473ユーロへの値上げ。
失業者の増加:2009年6月の調べでは、ブリュッセルの失業者は前年同時期に比べて8.9%増加している。もちろんこの都市に限ったことではないが、今年も同様の傾向が続きそう。日本と違って特に若年層の失業が深刻なことも、ヨーロッパ全般の現象である。
目玉になる観光テーマの不在ブリュッセル市は年によっては、テーマを設けて観光キャンペーンを展開している。2004年「アール・ヌーボー」、2006年「モード」、そして昨年は「マンガ(バンド・デシネ)」がテーマだった。2010年は特にこうした設定がないので、観光の面では面白味がないというか、今一つ精彩を欠くというような感じがあるようだ。ちなみに次のテーマ「グルメ」が置かれるのは2012年。まあ毎年ネタを考えるのも大変だろうから、いたしかたないのではないかと。
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その他、2010年中に一部の道路工事が終了するのはグッドニュースだが、新たに別の工事が始まるのがバッドニュースというあたりは、要するに工事が始まったり終わったりするだけだろうと突っ込みの一つも入れたくなる。サッカーチームで、アンデルレヒト(1部リーグ)とホワイトスター・ヴォルヴェ(3部)は好調、FCモレンベーク・ブリュッセル(2部)とユニオン・サン−ジロワーズ(3部)は不振というのも、結局は強いチームあれば弱いところもということに過ぎない。でもまあ、全体としてブリュッセル市民の関心のありかがわかる興味深い記事であった。もちろん人によって感じ方は違うだろうけれど、願わくば多くのブリュッセル市民にとって、2010年が幸せな年でありますよう。