手作り風非宗教結婚式が盛んに

ヨーロッパのキリスト教国での結婚式は2段階、公共的に結婚の事実を確認するもの(市長の前で宣誓等を行う)と、教会で執り行われるものに分かれているというのはほぼ周知のことだろう。しかし、特に若者の間で教会離れが進んでいる昨今、このような結婚式の仕組みがこのまま存続するのだろうか、など漠然と考えていた。8月29日付の『ラ・キャピタル』紙は、ベルギーでいわゆる「人前式」の結婚セレモニー、非宗教婚が(ようやく?)盛んになりつつあるという話題を伝えている(Plus de “oui” laïcs. La Capitale, 2011.8.29, p.4.)。
ブリュッセル非宗教協会(ASBL)に勤務するアンヌ−ルイーズ・ファン−ニューヴェンハウゼン氏によれば、同協会が関わる非宗教婚は平均2週間に1度のペースで開かれている。季節によっては同じ日に2組の婚礼が重なることもあるらしい。多くの場合、どのような結婚式にするかはカップル自身が企画し、そのための基本情報などについては既にネット上に掲載されているのだが、せっかくの式をより充実した想い出に残るものにするため、ASBLに電話したり直接来訪したりして相談する人も少なくない。同協会ではそうした相談に無料で応じている。
非宗教結婚式の定型的な段取りは既に確立していて、カップルの友人知人、あるいはプロの司会者が進行を取り仕切る。まずは立会人による祝辞、結婚する二人による誓いの言葉、そして(場合にもよるけれど)指輪の交換という具合。こうした最も簡潔なパターンでは1時間もかからずに全て終了するが、そこは工夫と演出次第ということにもなる。
最近結婚したティエリとイザベルの場合、非宗教結婚式は市役所での結婚式の1週間後に挙行された。事前にASBLの担当者と4回の打合せを行い、うち1回は司会を引き受けてくれた友人も同席したという。式はまず、ティエリがイザベルにプロポーズをする際に作ったビデオの上映から始まり、次に二人が厳粛な面持ちで入場。立会人が原稿を読み上げた後で、カップルの誓いの言葉、指輪交換と続く。そして引き続き招待客は続きの間での乾杯へと移り、なごやかな祝宴が新婚夫婦の門出を祝した。
ASBLによれば、こうした形での結婚式は、同じ信仰を持たないカップルの場合、これまで正式な結婚式を挙げることなく同棲を続けてきた男女の場合、そして同姓同士の結婚の場合などに適しており、事実そうした人々に歓迎されている。また、教会での結婚式はミサにもきちんと出席していない者にとって厳粛に過ぎるし、一方市長の前での宣誓だけでは役所仕事的に終わってしまい軽過ぎると考える二人にとっても、式の手頃な形として利用される傾向があるようだ。今後、こうした結婚式のあり方が喧伝されるにつれ、潜在的な希望者が発掘され、より普及していくことになるのではないだろうか。