欧州北部産ワインの専門店が新登場

本日は軽めの話題を一つ。ベルギーの首都で発行されている週刊無料紙『トリビューン・ドゥ・ブリュッセル』の8月30日版は、この街に新たに誕生したヨーロッパ北部地域産ワインの専門店について詳しく紹介している(Du vin, et du nord! La Tribune de Bruxelles, 2011.8.30, p.7.)。
ブリュッセル南側に隣接するイクセル、その中でも一番南に位置するサン−ボニファス地区。ここについ数か月前にオープンしたワインショップは、アルシャンジェロ・ヴァレ氏とジャン−フィリップ・アノ・マンブル氏が共同経営している。当店の際立った特徴は、フランス北東部、ベルギー、ドイツ及びオランダという、ワインの主要産地とは言えない国または地方で栽培、製造された商品のみを扱っていること(おそらく世界でも唯一の存在なのではないか)。ヴァレ氏は「これらの地域のワインを売っている店は多くありません。また、こうした産地に真に将来性のある優れたワインがあることもあまり知られていません。そういう中でこの店を経営していくことを、今後とても楽しみにしています」と語り、取り扱うワインの価値、そして商売の展開についても自信を示している。
予想通り品揃えは白ワインが中心であり、「比較的軽め、豊かなアロマがあって、フルーティーなものが目立ちます」とのこと。また少数ながら赤ワインも見られる(ぶどうの品種はピノ・ノワール)。現在一番のお薦めは、ベルギー北東部、オランダ国境に程近いマースアイク町にあるドメーヌ・アルデネイク。ピノ・ブラン、ピノ・グリ(いずれも白)、そしてピノ・ノワール(赤)の3品種それぞれのワインが、互いの個性を競っている。なお、今のところは主として上記4か国のワインを販売しているようだが、今後はデンマークスウェーデンといったスカンジナビア産に対象を広げる可能性もあるという。
まあ、やはり気候面でワイン栽培上圧倒的に優位に立つヨーロッパ南部(フランス、イタリアなど)に比べると、グレードは今一つということではないかと思うが、ある意味「地産地消」ということで、ブリュッセルの街で北方からの風に吹かれながら、地元や近隣のワインを味わうのも悪くない。月曜から土曜まで、午後のみ開店する店舗では、試飲をすることももちろん可能。ぜひこの店が安定した経営を続け、地場産の良さが少しでも人々に伝わることを期待したい。