復活祭チョコの最近のトレンド

ヨーロッパで春の到来を告げる重要なセレモニー、復活祭。今年は4月8日がこれに当たる(西方教会の場合)が、この祝祭を彩るアイテムの一つとして、卵型など様々に型取られたチョコレートが挙げられる。4月6日付のフリーペーパー『メトロ』紙は、復活祭におけるこのお菓子の役割、また人々の意識などについて改めてリポートしている(Les œufs et les lapins, rois de Pâques. Metro, 2012.4.6, p.14.)
世論調査会社TNSソフルが全国チョコレート組合の委託で実施した調査の結果によれば、復活祭の際の贈り物としてチョコレートを挙げた人は65%にのぼり、花(10%)、おもちゃ(7%)を大きく引き離している。贈る相手として、大人よりも子どもが一般的に想定されていることが、こうした調査結果には相当程度反映されているだろう。しかも総じてフランス人はチョコレートが好きだということ(98%が「はい」と回答)も、復活祭のプレゼントとしてのチョコの地位を不動にしていると言える。
この時期に購入されるチョコレートとしては、卵型を中心に、にわとり、うさぎ、鐘の形を型取ったもの(74%)がその他(25%)を圧倒的に上回っており、チョコレートがあくまで宗教的行事のシンボルとして捉えられていることがわかる。また、購入場所としてはスーパー(70%)が専門店(42%)を凌駕しているのが現状。この点について全国チョコレート組合のフローランス・プラディエ会長は「チョコの質は流通経路に依存するものではありません。スーパーにも非常に高品質のものが多くあります」という考え方を取っている。一方、高級ショコラティエを代表するジャン−ポール・エヴァン氏は、「(スーパーで売っている)いくつかのメーカーのチョコは、必ずしも優れているとは言えません」との主張だ。もっともこの点は、プラディエ氏が弁解するように「職人が小規模につくるチョコと、(工業生産で)大規模に流通するものを単純に比較するのは不可能」というのがおそらく正論なのだろう。そもそも復活祭のプレゼントをスーパーで買う人々は、それほど質的な側面にこだわりがないのではとも考えられる。
ちょっと興味深かったのは、他人のためでなく自分用に復活祭のチョコレートを買うと答えた人が43%に達していること。一人暮らしのお年寄りがせめて季節を感じるために買い求めるのか、それとも日本でヴァレンタインに高級チョコを自分のお土産にするのと同じような現象が起きているのか、実際のところはわからないが、もし後者の要素が多少なりともあるのならば、プレゼントという色合いを超えてチョコレートがますます愛好されるようになってきていることを示す一つの証左と言えるのかもしれない。