パリ関連書は百花繚乱

ヨーロッパ主要都市では、日刊の無料新聞(日本のフリーペーパーと違い、政治・経済面なども含め一般紙に近い内容で構成されている)がかなりの勢力を有し、一部では一般紙の地位を脅かしているとも言う。以下は、パリの主要駅などで毎日配られている二大無料新聞のうちの一紙である『ヴァン・ミニュート』紙の12月18日付けから、パリに関する図書の出版事情の解説(L'abondance de guides sur Paris a de quoi déboussoler. 20 Minutes, 2008.12.18, p.4.)。
パリ関連書をメインに出版事業を行っているパリグラム社の編集責任者フランソワ・ベス氏によれば、パリを扱った図書は特にこの2、3年急増しているとのこと。類書が異なる出版社から続々刊行されるのがこのジャンルの特徴で、『タダで楽しむパリ』は4社、『恋人たちのパリ』は3社から出されている(タイトルはそれぞれ少しずつ異なるが)。
「この分野では、ある本のデータの60%をそのままコピーしても、レイアウトを変えることで別のガイドブックが作れてしまうのです」とベス氏は嘆く。一方で「ガイドブックは作るのが簡単だからね。テーマ探しは楽だし、書き手を見つけるのも苦労はない」と言い抜ける他社の編集者もいる。ガイドブック以外では、パリを扱った写真集や絵画集が数多く刊行されており、出版社ではいかに目先を変えた図書を出し、他社との差別化を図るかに腐心しているようだ。
なにはともあれ、パリ関連書はそこそこ売れるからこそ量産されるのだろうし、自分もそのことは避けようがないと思う。あとは安易な企画に走るのではなく、ユニークな切り口を見せてほしいと願うばかり。この記事で紹介されているなかでは、パリの各区ごとに分けて、主要な風景を集めたデッサン集を発行しているエキノクス社のコレクションが興味深いと思った。

                                      • -

カルフール南町田店が1月12日で閉店とのこと。これで関東地区のカルフールは狭山(埼玉県)と幕張(千葉県)の2店舗のみに。良くも悪くも大進出中の中国とは大きな違い。食品から服から電気製品までワンフロアというハイパーマーケットスタイル(フランス語では「イペルマルシェ」)が日本人には合わないのかしら。ときどきミネラルウォーターとか輸入菓子とか買いに行くけど、他の店は残ってほしいと願うばかり。