広告効果のあるアスリートは誰−スポーツ選手の有名度調査

日本経済新聞』ほどの普及度はないが、フランスにも経済紙と呼べる新聞が2紙ある。そのうちの1つ『レゼコー』紙は1月9日、アスランヌ社とスポーツ・マーケット社が実施した「著名なスポーツ選手に関するアンケート調査」の結果を伝えた(Les tennismen, plus populaires que les rugbymen. Les Echos, 2009.1.9, p.10.)。さすがに一般紙とは切り口が違う。企業のイメージキャラクターとしてのアスリートたちの評価を測るための調査なのだ。
15才から34才までの若者が挙げた「有名なスポーツ選手」、まずはトップ10の一覧。1位−ジダン(サッカー)、2位−アンリ(サッカー)、3位−マナドゥ(水泳)、4位−パーカー(バスケットボール)、5位−リベリ(サッカー)、6位−ナダル(テニス)、7位−ドゥイエ(柔道)、8位−フェデラー(テニス)、9位−ベンゼマ(サッカー)、10位−ベッカム(サッカー)。ジダンがダントツのトップで、アンリとマナドゥが続き、あとは差がぐっと縮まってくる。
サッカー選手が10人中6人を占めるのはフランスらしさを思わせるが、圧倒的ヒーローであるジダンや、もはやタレントとして有名と言った方がよさそうなベッカムはともかく、今調査では新進のカリム・ベンゼマ(フランスリーグアンで最優秀選手賞)のトップ10入りに要注目とのこと。他の競技では、シャバルとミシャラクが前回10位までに入っていたラグビー選手が今回は姿を消している。2007年はシックス・ネイションズ優勝の効果が大きかったとの評価。一方で新たにテニス界からナダルフェデラーがリストに入った。この2人が好調でライバルとして大いに活躍したのが進出の要因らしい。
興味深いのは北京オリンピックのメダリストの名前が挙がっていないことの分析。オリンピック期間中以外も活躍ぶりが頻繁にメディアに報じられるということでもない限り、有名な選手として人々の記憶には残らないらしい。このあたりは日本も事情は同じかも。
もう一つ面白いのは3位になったロール・マナドゥをめぐる評価。アテネオリンピック400メートル自由形で金メダルという実績より、熱愛発覚・ヌード写真流出騒ぎといった芸能面的なメディア露出が、上位ランキングの要因になったようだ。人物像としては「軽薄」「やる気がない」といった見方もあるそうで、広告のイメージ的にはむしろマイナスになりかねない。もっとも彼女の弁護士であるディディエ・プールメール氏は、「フランス人はロールの人間らしいところが好きなのです」と強気な発言をしている。ランセルやEDF(電気会社)などと多数の契約を抱えるマナドゥの今後が注目される。
ところで日本で同様の調査をしたらどんな結果が出るだろう?やはり野球選手が多くて、あとは相撲やサッカーなどか。もっとも日本はフランス以上にスポーツ選手の芸能化が進んでいるような感があるので、上記のマナドゥ的なランク入りが多数を占めるのかもしれない。