パリのカフェ特集

遅ればせながら、11月20日発売の『旅』1月号、ブックファースト新宿店のバックナンバーコーナーで購入。『旅』っていつのまにか新潮社刊になってたのね、これまた時代おくれですみません。
「冬のパリは、カフェがいいね。」は約80ページの大特集。サンジェルマン・デプレのお馴染み喫茶店「フロール」の一日密着、カフェで楽しめるカクテルの図解などが楽しい。「映画とカフェ」というのもありがちな組み合わせだが楽しく読める。イヴ・モンタン主演「ギャルソン!」、北駅そばのカフェが舞台だったとは。すぐ脇のホテルには何度も泊まったことあって、このカフェにも行っているかも。
地図も分かりやすくレイアウトされている。一通りは歩いて回ったところが多いなかで、バスティーユの東側が流行りというのは知らなかった。今度旅行したときは訪れてみよう。
で、カフェ特集なので、当然いろいろな店、特徴的なカフェやおすすめスポットが紹介されているわけだが、自分がパリを旅するときのカフェとの付き合い方は少し違う。表通りや裏通り、繁華街やら住宅街、言ってみれば見た感じの雰囲気が悪くなければどんなカフェでもいいのだ。足休めにコーヒーを飲み、新聞を広げつつ、今自分がパリにいることに深くひたる、カフェはそんな場所だと感じている。
そういう意味でのパリのカフェでの過ごし方については、いまだに1977年刊行の玉村豊男『パリ 旅の雑学ノート』の記述に勝るものはないと思う(新潮文庫版は1983年、ただし品切れ)。さすがにトイレやパチンコに関する説明は古くなっていると思うが、それ以外にはパリのカフェは基本的に変わることなく、そのカフェを探検し分析する玉村氏の視点は古びていない。カフェは喫茶店、食堂、酒場という3つの機能を同時に果たしている(文庫版22頁)という定義付けも卓見だと思わせる。玉村氏の本を読んでから上の雑誌特集に目を通すと、印象は確実に違ってくるのではないか。
それにしても、パリのカフェは夜遅くまで営業していてうらやましい。それを言うと、ファミレスに行けばいいじゃないか、と言われそうだけど、カフェや喫茶店とファミレスはやっぱり別のものだ。
最後に、「映画とカフェ」のページで、「アメリ」が働いていたカフェが「モンパルナス界隈」(69頁)とあるのは、「モンマルトル」の誤り。いや、完全に揚げ足取りです。この2つの地名は両方有名ではあるが良く間違えるんですよね。