ルーヴル美術館展 美の宮殿の子どもたち

急にミュージアムづいたわけでもないが、国立新美術館に出かける。月曜日の10時半という時間で、列もなく入場はラクラク。入口に消毒用アルコールが置いてあるので、儀礼的に手に吹き付ける。会場内はさすがに人出もかなりあって、どの作品の前にも観覧客が切れ目なく並んでいた。
まず興味を引いたのは、ローマ時代末期の書字板。おおげさに言えば今でもフランスの学校で使われていそうな木造りの書字板が、1500年の時を経て展示されていることに感じ入る。超有名画家のものこそないが、17世紀オランダの風俗画が数点。さらにシャルダン、コロー(時期的に本来はオルセー美術館に入っている画家だが)の作品なども。
ただ、またまた美術の素人が放言してしまうと、紀元前2000年のテラコッタ像から18世紀絵画まで、あらゆる作品が一挙に展示され、頭の中で展覧会としての統一的な像を結びにくい印象が残る。さらに、主題である子ども、別の言い方をすれば人間の誕生期・幼少期については、いまさらアリエス『<子供>の誕生』を引き合いに出すまでもなく、時代によって多様な概念や眼差しがあるはず。展示がクロノロジカルでなくテーマ別に展開されていることもあって、そのあたりの時代性がどうしても見えにくい(もちろん企画された方々はいろいろ工夫されたのだろうが)ように思われた。見終わった観客の感想が「子どもはいつの時代もかわいいね」という結論に落ち着いてしまっては、主催者側も決して本意ではないだろう。
まあ、ルーヴル「7つの部門の至宝」を一堂に展示ということは、各部門間を歩き回るだけで疲れるリアル・ルーヴルの魅力を一つの会場に凝縮したとも言えるわけで、そのあたりが本展覧会の最大の素晴らしさかもしれない。