水の事故、安全講習の効果は出るか

東京では夏の体育の授業は水泳と決まっているが、北海道にいくと気候の関係で、スキーやスケートは頻繁に習っても、水泳の授業は比較的少ないらしい。同じことは山国スイスにも言えるようで、6月24日付けの『トリビューン・ドゥ・ジュネーブ』紙は、子どもが水に慣れる機会を得られないことの問題と、その対策について探っている(Pour bien se comporter au bord de l’eau. Tribune de Genève, 2009.6.24, p.27.)。
ジュネーブ州教育省によれば、小学校における水泳の授業の実施状況は、学校ごとに大きく異なっている。プールが完備している学校では、各学年で毎週のように水泳の時間があるとのこと(あるいは温水プールなのかも)。一方でプールのないところでは、近くの市民プールまで児童を連れて行かなければならず、どうしても授業回数は少なくなる。特に低学年の場合は、プールまでの交通安全に不安があるため、授業はほとんど不可能。
結果として、国民全体に泳ぎへの慣れの少ないことが背景にあって、水の事故が後を絶たず(もちろん原因は一概には言えないだろうが)、程度の軽重はともかくとしてスイス全体で年間15,000件も発生している。こうした事態を重く見て、スイス救命協会では4歳から6歳までの子どもを対象に講習会を開くことにした。この講習会では、次のような標語の形で、子どもたちにプールや川、湖などでの水との接し方を教えることにしている。
プールに出かける30分前に日焼けクリームを塗ります。
水に入る前は、ちゃんとトイレに行き、シャワーを浴びます。
おもちゃが水に落ちて流されても、追いかけていったりしません。
本当に助けてもらいたいとき以外に、ふざけて悲鳴をあげたりしません。
飛び込むのは安全な場所にして、誰かにぶつからないか気をつけます。
寒さを感じたら水から上がり、体をよく乾かします。

なるほど。でもこれらの標語のなかに、準備体操が全然入ってないぞ。アキレス腱を良く伸ばしますとか。それに、冷たい水に急には入らないといった、日本人にとってはわりと常識的な注意もない。
確かに日本も水の事故は多いけれど、一般的に注意すべきことはそれなりにみんなが知っている。この点については、やはり周りを海に囲まれた島国の方が、一日の長があると言えるのかとも思う。

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NHKホールで「第47回パリ祭」を見る。出演者の高齢化は隠すべくもないが、それをいまさら言挙げすることもないだろう。フィナーレを飾る1曲「歌おう愛の喜びを」(ミシェル・サルドゥ2000年のヒット曲 Cette chanson-là の日本版)が聞かせる。それと、ゲストで登場した加藤登紀子の「百万本のバラ」(シャンソンではない)にやはりぐっときた。