税の引き下げでランチもディナーもちょっとお安く

日本の消費税について、今のように一律ではなく、生活必需品とそれ以外で税率を変えてはどうかという議論が提起されることがある。フランスを初めとするヨーロッパ諸国では、付加価値税の基本的な税率が高い(フランスの場合19.6%)こともあって、食料品などでは低減税率(同5.5%)を用いるのが既に一般的だ。
フランスではこのたび、税率緩和の範囲が拡大され、7月1日から外食全般に低い税率が適用されるようになった。6月25日付けの『ル・フィガロ』紙では、税の緩和を控えた外食産業の動向や見通しなどを伝えている(Les chaînes de restaurants en pointe pour baisser les prix. Le Figaro, 2009.6.25, p.20.)。
外食に関する付加価値税の引き下げについては、以前から議論があったようだが、昨今の景気低迷をうけ、今年1月から5月までの間に客数が6.6%減少したといった状況が、具体的な動きにつながったと見られる。今春、経済産業雇用省の下に置かれている外食産業検討委員会において官民協定が成立した。政府が税率を低減すると同時に、例えば全国外食業チェーン組合(SNRTC)に加盟する各社においては、少なくとも7品目の価格を引き下げることが決まったのである。
同組合加盟のステーキチェーンバッファロー・グリル」では、協定に定められた規模を上回る15品目について、7月1日から付加価値税低減分(11.8%)の値下げをすることにした。ジャン−フランソワ・ソートゥロー同社会長はこの決定について、「付加価値税下げを還元しようとしないレストランに、消費者はそっぽを向くでしょう。60品目以上がメニューに並んでいる中で、たった7品目の値下げでは目立ちませんから」と説明する。SNRTCにはほかにも、シェ・クレマン(フレンチ)、デル・アルテ(イタリアン)、レオン(ブリュッセルに本店のあるベルギー料理店)など計16社が加盟しており、いずれも協定のレベルを上回る値下げを実施するようだ。
SNRTC以外のレストランでは、例えばカバのマークでおなじみ「イポポタムス」で、思い切って50品目程度の価格引き下げを計画。さらにホテルチェーンのアコーグループ(ソフィテル、ノボテルなど)でも、施設内の飲食施設や、宿泊時の朝食などで値下げを行う。
ドミニク・ベネゼSNRTC総代表は、価格下げが進むのは主にチェーン店であり、個人経営の小規模飲食店は値下げに消極的ではないかと予測するが、消費者の動向を考えるとそんなことは言っていられない。個人経営のレストランが主なメンバーとなっている組合「サンオルカ」では、80%の店舗が何らかの価格変更に踏み切るのではないかとしている。かく言う自分も、フランスに行けば旅行者として、チェーン店やら個人経営のレストランのお世話になる毎日。これからの旅行では、税制改正の恩恵にいくらかでもあずかれるようになるのだろうか。7月に入り、これからの動向に注目。

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心身疲労で、読書もフランス語も進まず。ようやくの思いで、遡りのブログをUPする。