スーパーモノプリの高級店舗が登場

古き良き食料品店への郷愁が残るフランスも、現実は大規模小売店が席巻する社会。有名度と影響力ではカルフール、オシャン、E・ルクレールといったハイパーマーケット(巨大ショッピングセンター)の方が上だろうけれど、いわゆる中小スーパーも数多く、市街域ではむしろこちらが主流だ。5月27日付の『ラ・トリビューン』紙は、スーパーの有力チェーンの一つ、モノプリが、パリ市内に新型店をオープンさせたと報じている(Monoprix s’embourgeoise dans le VIIe. La Tribune, 2010.5.27, p.19.)が、さていったいどんな趣向なのだろう?
新型店が登場したのはパリ左岸の7区、あたりは官庁やグランゼコール大学院大学)が多く、住民もある程度はいるが商店はかなり少ない地域。元関税庁だった建物を米投資ファンドカーライル・グループが買収し、賃貸に出していた部分のうち785平米が店舗になった。モノプリの平均的な店からすると床面積は約半分という規模だ。
新店舗のコンセプトは、近くで働く人々にとっては一種のコンビニエンスストア、近隣住民にとっては日常使いのスーパーといった位置付けになるような店づくり。店長に就任するクリスティアン・ル・ムーレック氏は、「この店には、モノプリで販売している商品の中でも選りすぐりのもの、またそれ以外にも有名ブランドの商品を多数集めました。フォション、クスミ・ティ、ジャン−マルク・シャトゥラン(オート・ザルプ産の高級ジャム)などがそうです」と語り、想定される利用客に合わせて普通のモノプリとは違う(多少の)高級店指向を進めることを明らかにしている。小規模店ながらちょっとリッチな食品類が並んでいるといったイメージ。しかも(商店組合からの批判はあったようだが)夜10時までと比較的長めの営業時間を設定した。これで1日当たり2,000人から3,000人程度の来客を見込んでいるが、はたして狙いは当たるだろうか。
場所は地下鉄12号線リュ・ドゥ・バック駅から北側にすぐのところ。オルセー美術館にも近いので、通りかかったらのぞいてみるとよいかも。