ブックフェアに大統領夫人がお出まし

日本での本の見本市と言えば、7月に開催される「東京国際ブックフェア」などがあるが、フランスでの同じような催事として知られるのが、ポルト・ドゥ・ヴェルサイユの展示場で毎年開かれている「サロン・デュ・リーヴル」。『出版ニュース』2010年5月中旬・下旬号での渡邊和彦氏によるレポートでは、入場者数は東京の約3倍、ドイツのフランクフルトブックフェア等とは異なり、主にフランス国内の一般読者向けのイベントであると紹介されている。3月19日付『ル・パリジャン』紙は、今年のサロン・デュ・リーヴルにファーストレディが現れたということで、写真入りのやや大きめの記事を掲載している(Carla veut faire lire les enfants. Le Parisien, 2011.3.19, p.31.)。
御存知のようにモデルや歌手としての知名度も高いカーラ・ブルーニサルコジ大統領夫人が、何気なく見本市会場内を歩いているのを見て、偶然居合わせた人はびっくり。「そっくりさんかと思っていたわ」とある少女は語っている。カーラ夫人がフェスティバルに出席したのは単なる興味からではなく、文盲撲滅を推進し、そのための新たな企画、幼稚園や小学校に図書券を贈るプロジェクトの開始を視察するため。今回はイル−ドゥ−フランス地域圏内教育施設から2つのクラスが贈呈対象として選出され、10万ユーロ分の図書券が贈られることとなった。彼女は「300万もの人が読むことも書くこともできずにいます。このことは真の危機であって、我々はそれに向き合っていかなければなりません」と、キャンペーンの意義を説明する。
ちなみに、大統領夫人本人は現在、枕頭の書としてジョイス・キャロル・オーツ『墓掘り人の娘』を置いているとのこと。「息子はアンデルセン童話やグリム童話を読みますし、アステリックスやラッキー・ルークといったマンガも読んでいます」というのは、まずまず一般的な答えとでも言えるだろうか。