大型車の危険な運転ぶりに不満多し

高速道路などを走っていてよく感じるのは、トラックやバスといった大型車を上手にかわしつつ運転するのはなかなか難しいということ。もちろんこれは日本だけの話ではなく、フランスでも似たような状況が起きているらしい。特に渋滞の時などに大型車と折り合いをつけながら走るのは至難の業と考えられている。7月23日付『ル・パリジャン』紙は、混雑時を中心としたトラックなどの道路走行ぶりとその問題点について改めて検討している(Attention aux poids lourds sur la route de vacances. Le Parisien, 2011.7.23, p.8.)。
フランスでは、学校や会社の夏休み開始が集中する特定日(また夏休みが一斉に終わる特定日)に、場合によっては日本のレベルを超えた高速道路の渋滞が発生する。国立道路情報センター(CNIR)では、混雑・渋滞情報を的確に把握することをその主要な任務とし、また事前に高速道路が混雑する日を予測して、ネットなどを通じてカレンダーで提示する業務も実施している。さらに最近では、混雑が予想される日時には一部の例外を除いて大型車の高速道路の通行を禁止するという、かなり思い切った省令も施行されている(意義は認めるけれど、トラック輸送などで不便は生じないのだろうか?)。
というわけで、本当の大渋滞時にはトラック走行に伴う問題はあまり生じないよう手当てがされているのだが、それでも普通車の運転者などから見て、大型車のふるまいは時に恐ろしく見えるようだ。リヨンに向かう途中、サービスエリアでタイヤの空気圧を調整しながら記者の質問に答えたリオネル・ピシュノ氏(23歳)は、「トラックの人たちは、道路は自分らのものだと信じ込んでいることが結構多いのです」と不満を露わにする。「安全な車間距離を全く保とうとしないので、こちらは細心の注意を払って運転しています」。そして、フォンテーヌブローの料金所を通り過ぎた直後に、携帯電話でしゃべりながら無理やり追い越しをかけてきたトラックがいたと、冷や汗体験を披露する。
その他にもトラック走行に対する違和感はいろいろ。2台の大型車が並んで走るのはいかがか(多分片方が追い越しにかかっているのだとは思うが)とか、金曜日はトラックで道が一杯になってしまう(物流上仕方ないと思うが)とか。一般道に関しても、保母手伝いをしているオーレリー・イルモワンさん(40歳)は、「村の中を法定速度の20キロオーバー、ひどいときは時速80キロで飛ばしていく車をよく見かけます」と苦情を漏らしている。
もっとも、トラック運転手の側にも言い分がある。25年以上ドライバーを続けているティエリ・グーヴメイル氏は、「一般車には、トラックを運転することがどういうことなのか、なかなか理解してもらえません」と嘆き、大型車はハンドルを切って進路調節するのもかなり難しいのだと説明する。そして、「そうしたことを全ての運転者が意識してくれるようになれば、高速道路上の危険は減ってくると思います」と、一般車・大型車双方の認識の向上を呼び掛けている。確かに同じ道路を共有するもの同士、ちょっと日本風ではあるが、相手の立場を思いやって「譲り合い運転」に徹することで、交通安全が保たれるのではないかと思う(まとめ過ぎか?)。
この記事でもう一つ興味深かったのが、3.5トン以上の大型車にはEU規制によって連続運転時間の上限(4時間半)が課せられていること。憲兵隊高速道路小隊(いわゆる交通警察)がこの規制が守られているか厳しい検問を実施しており、メーターチェックにより違反が摘発されると最低135ユーロの罰金を支払わなければならない。取り締まりは有効に機能しているといわれ、居眠り運転防止などの効果が期待されている。日本でも「早めの休憩を取りましょう」といった表示をよく見かける昨今、常に注意怠りなく安全走行を心掛けたいものだ。