ラグビーW杯成績の事前予測、その「情熱と冷静の間」

日本では開催前こそ多少盛り上がったとは言え、リーグ戦勝ちなしで予選敗退して以後はほとんど話題にものぼらないラグビーワールドカップ。実はサッカーW杯、オリンピックに次ぐ世界第3位の大会規模を誇るスポーツイベントである。フランスは、その起源が19世紀まで遡る大会「シックスネイションズ」に早い時期から参加していることもあり、伝統的にラグビー人気は高い。今回のワールドカップでは(御存知の通り)リーグ戦で日本に勝利したものの、全般には調子上がらず2勝2敗、何とか勝ち点の差でベスト8進出を果たしている。9月9日付のフリーペーパー『メトロ』紙は、開会前段階でのフランス人のナショナルチームに対する期待と予測について、そのアンケート調査結果を報じている(Un défi de taille pour les Bleus. Metro, 2011.9.9, pp.4-5.)。
マルク・リエヴルモン監督が率い、ティエリ・デュゾトワール主将を軸に戦う仏ナショナルチーム。目指すはもちろん優勝、ウェブ・エリスカップの奪取と高らかに言いたいところだが、状況はそう生易しくはない。前回2007年大会の開催国であり、これまで6回の大会中2回で2位の記録を残しているので、「強豪」という評価も外れてはいないけれど、他の有力チームとの関係で見ると頂点への道はいかにも遠そうに感じられる。
しかし、ラグビーに関心があると答えたフランス人の中で、開会前にフランスの優勝を予想した人は25%で、参加国中2番目(まあ予想というより期待という色合いが多いだろう)。ちなみに圧倒的に有力視されたのは開催国ニュージーランド(47%)であり、また、南アフリカ(10%)、オーストラリア(4%)、イングランド(3%)の強さを評価する人々もあった。なお、フランス優勝の予想をした者以外では、準決勝まで進出とみる予測が一番多くて32%、準々決勝止まりと想定する向きが28%をそれぞれ占めた。決勝まで行って敗退すると考える人を意外に少なく8%。また、フランスチームは最低でも準決勝まで出られればまず成功だろうと考える者の割合は53%となっている。
まあ、そこそこ期待しつつも過度のプレッシャーはかけないといった体の反応と思えるが、リエヴルモン監督自身はもっと気丈に「自分はこれまで、優勝以外の目標を掲げて戦ったことはありません」と発言している。彼が強敵とみなすのはやはり南半球の3か国(ニュージーランド南アフリカ、オーストラリア)。実績からみても過去6回のうち5回の優勝はこれらの国々だ。ただ幸運なことに、今後のトーナメント戦でフランスは決勝まではこれら3か国のどことも当たらない組み合わせになっている。まずは10月8日のイングランド戦。英仏伝統の一戦でもあり、フランス国内での盛り上がりは相当なものになるのではないだろうか。