民放テレビの新番組はお笑いニュース批評

民間テレビ局カナル・プリュスでウィークデーの午後7時55分から放送されている「レ・ギニョル・ドゥ・ランフォ」は、パペット人形が時事問題を自由自在に斬る風刺番組としてすっかりお馴染み。おそらくそれにあやかろう(または対抗しよう)というのだろう、フランスでほぼ常時第1位の視聴率を誇るTF1(これも民放)が、この秋から物真似を得意とするタレントをメインパーソナリティに迎え、ニュースのお笑い辛口批評番組を、午後8時のニュースの後に放送することになった。10月10日付のベルギー『ラヴニール』紙は、この注目すべき番組と出演者について紹介記事を掲載している(Après le 20 Heures, c’est Canteloup. L’Avenir, 2011.10.10, p.19.)。
TF1が平日の8時35分から放送するのは「20時ニュースのあとはカントゥルー」。まさにタイトルが示すとおり、物真似芸人でテレビ活躍中のニコラ・カントゥルー氏が登場する5分番組で、時間こそ短いが全国ニュースとプライムタイムの大型プログラム(映画、ドラマ、バラエティなど)をつなぐ要の位置を占めることになる。カントゥルー氏は2005年から、公共テレビ局フランス2でミシェル・ドリュッケール氏が司会する日曜の人気トーク番組「ヴィヴマン・ディマンシュ・プロシャン」にレギュラーゲストとして出演しており、既にお茶の間に十分顔と名前が売れている。この番組は、そんな彼があれやこれやで笑いを取りに来るのを、これまたTF1「スターアカデミー」の司会等で有名なニコス・アリガスがサポートするという、かなり豪華な作りになっている。
具体的な構成としては、アリガス氏がホストを務めるアメリカ風トークショーに、カントゥルー氏扮する話題の各界有名人が登場するという形式らしい。アリガス氏は、「自分は前もって台本テキストを読まず、収録時に始めて接するようにするつもりです。もちろんテーマは分かっていますが、自然に反応できるよう、どんなギャグが飛び出すのかは知らずにいたいのです。こうした番組は、演技でリアクションしようとしてもダメだろうと思います」と、番組への姿勢を説明する。カントゥルー氏のセンスを信頼し、それに正面から向き合おうというスタンスのようだ。そして、「最近はストレスを感じるような内容のニュースが多いですが、時事ネタを素材に笑い飛ばすというのは、誰の健康に取っても良いことなんじゃないですかね」とも。
常に高視聴率を稼いでいるニュースとプライムタイムに挟まれ、注目される存在になるのは確実な番組。それだけに、「ギニョル」と比較してどのくらいの風刺を利かせ、どういった笑いを取っていくのかが問われることになるだろう。切っ先を鈍らせることなく、スパイシーなユーモアを多くのフランス人が堪能するような結果が出せるだろうか。