パリ滞在記その3

また午前5時過ぎに目覚める。再びM6のビデオクリップを見ようとするが、何故か今日はやっていない。仕方がないのでラジオのクラシックFMに切り替えると、再び眠気が襲ってきて、7時のモーニングコールまで寝込んでしまう。
朝食会場から見えるパリ北駅前の路面ははっきりと濡れているが、少なくともこの時間、雨は降っていない。天気予報は「曇り、晴れ間あり、時々雨も」とはっきりしない内容を伝えている。
9時半頃ホテル発。少し雲が取れてきた。今日はまずRER(郊外線)でリヨン駅に向かい、オステルリッツ橋を通ってセーヌ河を渡る。川面に日射しがきらめいている。対岸のオステルリッツ駅から地下鉄10号線でカルチェラタン大学街の少し先、マビヨンへ。ここから歩いてリュクサンブール美術館を訪問する。開催中の特別展「セザンヌとパリ」(11月20日付当ブログ参照)が目当てで、ひょっとしたら混雑しているかもと心配したけれど、待ち時間なくすぐ入れた。もっとも中はかなりの人出。市内に多くの広告が貼り出されていたのでその効果もあるのだろうが、一巡してみて改めて、作品数こそそれほどではないものの、テーマに沿ってよくこれだけのセザンヌ作品を世界中から集めてきたものだと感心した。箱根のポーラ美術館所蔵のものも1枚あり。ハンディなカタログをショップで売っていたので手に入れる。
今度はレンヌ駅から13号線でモンマルトルの麓、クリシーに出て、一部地上を走る2号線に乗り換えベルヴィルへ。中華料理を軽く食べようとエスニックタウンを訪ねたのだが、坂を上りながら道の両側を見回すも、これといった店が見当たらない。そうこうするうちに上りつめてしまったので、取って返し小さなテイクアウト兼イートインの店舗に入る。牛肉のたまねぎ炒め、揚げ魚のチリソースとチャーハン。すごく美味というものでもないが、気取りのなさにほっと一息ついた心地がする。
ベルヴィル駅から11号線、3号線と地下鉄を乗り継いで、アーヴル・コーマルタンへ。ここはプランタン百貨店の最寄り駅だが、最初に向かったのは隣のギャルリー・ラファイエット。どちらのデパートも昼からイルミネーションが鮮やかだ。ラファイエットの本館、メンズ館、そして食料品フロア(メンズ館の2階)をくまなく回る。ネクタイ、かばんなどちょっと購買欲をそそられたが、結局買わず。客は非常に多く、特にレストランは長蛇の列。その割にトイレが少なく(本館では地下と6階しかない由)、こちらも長い列ができてしまっている。ラファイエットの食品売り場は左岸のボン・マルシェ百貨店と同じぐらい内容が充実していると思うけれど、チョコレートを探していたこの日は、自分のイメージに合うのがうまく見当たらなかった。結局プランタンに入っている「メソン・ドゥ・ショコラ」で購入。こちらのデパートはまとまった食品フロアはなく、いくつかの有名菓子店が2階に並んでいるのみ。
地下鉄9号線でフランクリン・ルーズベルト広場に移動する。ここからいよいよシャンゼリゼ大通りに進出。目指すヴァージン・メガストアは、思ったよりCDの品揃えが少ない。DVDなどに売り場を相当奪われてしまったようだ。2000年頃に一斉大量発売された「ジャズ・イン・パリ」シリーズから5枚購入。昨日と同じく、手荷物が溜まったところでタクシーをつかまえ、午後4時半くらいにホテルへ帰る。途中、歩道に並ぶクリスマス休暇仕様の屋台を眺め、セーヌ河沿いの自動車専用道路を通過し、そしてシャトレ広場から北へ。パリの代表的景観を満喫できた。
今日はちょっとゆっくりして、夕方のテレビを見る。日本で見られるTV5ではやっていないフランス3のクイズ番組「スラム」は、判明した文字を手掛かりに意味のある文字列を当てていく一種のクロスワードだが、出題に音韻に関する知識が問われるものが多いので、フランス語に強くないと歯が立たなそう。そのあと北朝鮮問題などのニュースを見ていたのだが、ついうとうとしてしまったらしい。目を覚ましたのは8時半頃。本当は7時には夕飯を食べに出ようと思っていたのだが、多少遅くてもと思い直し、また地下鉄に乗りレピュブリック広場に向かう。
ここでの目的はベルギー料理の「レオン」。3組ほど待っていたものの回転が良くすぐ座れる。当然定番料理、ムール貝のワイン蒸し、ポテトフライ、それにハウスビールを注文。よくオランダなどではムール貝が「バケツのようなものに入って出てくる(それだけ量が多い)」と言われるが、ここではごくおとなしい量、ポテトも多からず少なからず。しかもサービスがスピーディーで、まあファミレス化しているということなのかもしれないが、日本人にとってはさっぱりして悪くない感じだ。大いに満足してホテルに戻った。