パリ滞在記その4

今朝は早くに薄目が開いた程度で、公共ラジオ「フランス・ミュージック」のクラシックを聴きながらうたた寝を続ける。パリ最後の日も例によって7時起床。朝食会場に行くと、昨日までよりぐっと宿泊客が多くなっている感じ。年末休暇でパリ滞在者が増えたのだろう。荷物を詰めて8時30分にチェックアウト。午後2時半に引き取りに来る約束をして、しばしスーツケースを預かってもらう。
地下鉄4号線でレアールへ。地下は営業中のフォロム・レアールにあるUGCシネマで、初回の映画を見ようと思ったのだ。映画館の場所はすぐわかったが、切符売り場が別にあることに気付かず、9時ちょうどの開場後にあわてて階下のカウンターへ。9時15分の開演にはなんとか間に合う。「アメリ」でお馴染みのオドレイ・トトゥが主演の「デリカテッス」。70万部突破のベストセラーを作家自身が映画化したというラブコメディで、美人OLがふとしたことから風采の冴えない男と社内恋愛に陥った事の顛末は?といったのどかな内容だった。ホラーもサスペンスもなく、のんびり鑑賞するのに向いている。オドレイの人気に引っ張られてかフランス国内では上映館が多く、この日も初回上映にもかかわらずそれなりの観客が入っていた。
11時20分の終映後は、同じフロアにあるFNACへ。前日のヴァージン・メガストアと違い、こちらは相変わらずCDの品揃えが非常に充実している。M6のビデオクリップでチェックした中からエリザ・トヴァティとベン・マズエ、そして以前から定評のあるノルウェン・ルロワ、シメーヌ・バディ、イザベル・ブーレイといったラインナップを購入(ほとんどジャケ買い)。そしてここには「ジャズ・イン・パリ」の在庫もたっぷりあって、7枚も買い込んでしまった。
12時少し前にレアールを出て、歩きでフランス銀行の方角へ。2010年刊行の『フィガロ・ジャポン』誌で紹介されていたビストロで昼食でも、という目論見だが、当てにしていた1軒はついに見つからず、押さえだった別の店はまだ閑散としている。ワインビストロというふれ込みだったので、(ランチもやってはいるが)基本は夕方以降のレストランなのだろう。それでも入ってみると、「本日の定食」として、サーモンのグリル・刻み野菜のトマトソース載せと、グラスの白ワインを出してくれた。鮭がソースとベストマッチでとてもおいしい。デザートにティラミスも頼み、最後まで客は少なかったけれど美味しい昼ごはんだった。
午後1時になって、レストランから程近いところにあるパリ市立シャルロット・デルボ図書館を訪ねる。ビルの3階と4階のそれぞれ数部屋、計380平方メートルを使って、本の貸出や新聞・雑誌利用、さらに児童室のサービスをしている。新聞は5紙、雑誌は約40種。心理学、政治学、経済学といった分野別にそれぞれ1つの書棚が割り当てられているといった感じで、パンフレットによれば読書会や読み聞かせといったイベントに力を入れているらしいのだが、大都市パリの街中にしてはいかにも不釣り合いに小さな図書館(日本で言えば公民館図書室のような感じか)という印象が否めない。
近くのブルス(証券取引所)駅から地下鉄、レピュブリック駅乗り継ぎでホテル戻り。午後2時半にスーツケースを受け取ると、10分後にはタクシーがやって来た。一路空港に向かうが、それにしても今回タクシーを何回か使ってそのたびに感じた一般の車の運転マナーの悪さ(それらのタクシーの運転が特別荒っぽいというわけではないので念のため)、無理に突っ込み割り込む車両が後を絶たず、逆にそうでもしないと思った方向に進めないという状態はいかがなものか。それでもパリの街中を出て高速にのると後はスムース。乗車後約50分、わずか3日前に辿り着いたシャルル・ド・ゴール空港のターミナルの姿が再び見えてきた。