子どもとお金の関係について考える

子どもを持つ親にとって、いつの時期、またどのような形で、子どもがお金に触れる機会をつくるかということは、かなり悩ましく切実なテーマなのではないか。いずれは自ら働き給料を得て、生活を成り立たせる時期が来るわけだが、子ども、青少年にお金の意味について理解させ、堅実な態度を取るように育てていくには、両親や近親者、あるいは教育現場などでの相当な努力が必要だろう。12月28日付の『ル・パリジャン』紙は、アンケート調査の結果をもとに、子どもとお金の関係について検討している(Les enfants et l’argent, des rapports pas toujours simples. Le Parisien, 2011.12.28, p.30.)。
クリスマスの時期、子どもたちの一部はもはや、プレゼントを現金や小切手の形でもらうようになっていると言われる。なんと無粋な、という思いもないではないが、要するに日本のお年玉の代わりになっているわけだから、話は洋の東西を問わないことになろうか。クレディ・アグリコルの委託により調査企業CSA社が2009年にフランスで行った調査の結果があるので、まずはその数字を見てみよう。6歳から15歳までの子どものうち、小遣いをもらっているのは40%、その額は月平均で18.90ユーロ(クリスマスなど特別な時期を除く)。初めて小遣いを受け取る年齢の中間値は9歳だが、定期的にもらうようになる年齢としては14歳が一番多い。また、この年代の子どもたちで自分の預貯金口座を持っている割合は78%にも達しており、親や祖父母が少しずつ入金していたりする他、子どもが小遣いの余った分を預金に回したりしているという。
では、親たちは実際どのように行動すべきか。心理療法医であるステファニー・デュゴン氏は、小遣いをあげるのは具体的には6歳から7歳ぐらいからが適切ではと言及するが、それに併せ、要は子どもがもらったお金の意味が分かるようになった時点から渡すようにすればよいのであり、それぞれの子どもの性格や発達の度合いによって適当な時期は変わってくるだろうとも述べている。またデュゴン氏は、小遣いを渡し始めるのと同じ頃から、お金の意味や使い方などについて、対話の機会を頻繁に持つことを推奨している。小遣いをあげるその機会に、お金の意味について話すとともに、子どもがそのお金で何かを買ってきたら、またそのことについて話し合う。そういう親子の対話があってこそ、子どもはお金の適切な使い方を次第に学んでいけるのではないか。
一方、コミュニケーション・コンサルタントのクリステル・プティコラン氏は、子どもに小遣いを与えることは、同時にある種の自由を授けることを意味すると説明している。もちろんこの場合の自由は野放図であって良いわけがなく、子どもたちが相応の責任感を持つこと、また(金銭の使い道などについて)親からの条件設定と監視を伴うことの2点が前提でなければならない。そしてプティコラン氏は特に、子どもに多額の金を与えるのは(青年層にあっても)非常に望ましくないとも指摘している。
二人の専門家が一致する点は、いったん(それほど高額でない)小遣いを与える限りは、その使い道について事細かに口出しすべきでないということ。大人は子どもを見守るという態度に徹し、場合によって子どもが金銭管理に失敗するのを見届けてから、どうしてそうなったかを再び親子で話し合うのが重要という考えだ。できるだけ自主性を育てたいという方向が、お金の問題一つをとってもはっきりと見て取れる。
本記事の説明は、6歳から15歳までという幅の非常に広い年齢層を一括する形でなされているので、分かりにくい面が多々ある(お金との関係は6歳と15歳では違い過ぎる)けれども、大づかみな傾向をつかむ上では有益だろう。CSA社の調査結果に直接当たることができれば、もう少し詳細、かつ深い理解が可能な分析ができるのかもしれない。なお日本では、金融広報中央委員会で「子どものくらしとお金に関する調査」というのをやっているらしいので、そちらと見比べてみると、フランスと日本の共通点や相違点などが多少とも明らかになることが期待できる。