廃棄物処理の先進企業の活躍ぶり

産業、生活といったその由来に関わらず、廃棄物の適切な処理と資源循環(再生可能性の追求、リサイクル)は、現代社会においてはどこでも重要な課題となっている。廃棄物がただ厄介者あつかいされ、どこかに捨て置かれるというのでなく、上手に手を加えることで再資源化していくということが、今日どれほど重要かは言うまでもない。12月28日付、フランス北部地域の地方紙『ラ・ヴォワ・デュ・ノール』では、同地域で最先端の廃棄物処理に取り組む企業を紹介し、その具体的な事業内容に迫っている(Chez Ramery Environment, le déchet devient la matière noble du futur. La Voix du Nord, 2011.12.28, p.30.)。
リールから南南西に約30キロのアルヌ市に、廃棄物処理業務を広範に営むラメリ・アンヴィロンヌマン社の本拠地はある。パリより北のフランス国内では、処理能力において最大の廃棄物集積企業として知られ、年間50万トンもの廃棄物を扱って、その多くを利用可能な資源として蘇らせている。本社を実際に訪れると、まず魚の泳ぐ池や花壇に囲まれた近代的かつ小奇麗な建物がお出迎え。そしてその傍らには、廃棄物の第一次受け入れセンター(5千立方メートル)、そして資源を取り出すための集積基地(1万立方メートル)などが置かれている。
同社の前身に当たる企業が廃棄物処理を始めたのは2000年。その後、2006年にSMDR社とアピノール社が合併し、現在の会社の形態となった。今では16の事業部門に合計で430人が働いている。主要な業務分野は、建造物解体、アスベスト除去、廃棄物の選別及び有用資源の抽出、有機廃棄物の転換など。より具体的には、タイヤ廃材のゴムチップ化、生物系廃棄物のコンポスト化、有機廃棄物からのメタンガス生成などが、活発に推進されている。
この会社の現社長、マシュー・ラメリ氏は33歳の若さ。引き続き新規分野の開拓に強い意欲を示しており、「我々の研究開発部門では、32ものプロジェクトが進行中です」と語っている。家畜飼育で生じる排水からのメタンガス抽出、タイヤの熱分解によるエネルギー生成、汚染された土壌や運河の沈殿物等の浄化などがその一例。その開発意欲に感嘆するとともに、こうした産業上の努力によって、現在地球を脅かしているとも言える廃棄物問題の一部にでも、解決の糸口が見つかれば素晴らしいことではないかと思う。