マンション投資のコツと初歩的心得

不動産投資というと、よほど警戒してかからねばという意識が先に立ってしまうが、いずれにしても土地や建物が有力な投資対象であることは確か。当然フランスでも似た状況はあるわけで、特に日本風にいうマンション投資(フランス的には「アパルトマン」(分譲建造物内の各住居)や「ストゥディオ」(アパルトマンの小型なもの、いわゆるワンルーム)への投資)にはプチお金持ちの注目が集まりやすい。2月15日付のフリージャーナル『ヴァン・ミニュート』紙では、改めてこうした不動産に対する投資のごく初歩的なノウハウについて紹介している(Cibler juste lors d’un premier achat. 20 Minutes, 2012.2.15, p.23.)。
まずは新築と既築、投資するならどっちが良いか?「中古物件」の場合、新築より投資額(購入価格)が相対的に安いのはもちろん、中心市街地の物件、特色のある物件などを手に入れやすく、またそうした住居は転売も比較的容易という傾向が見られる。一方で新築住宅については、エネルギー効率が良いと認定されたものに関し、セリエ法に基づく税の減免が認められるという利点がある。このあたりは結局、好みに応じてというか、個別の物件に沿って判断すべきとでもなるのだろうか。
次に投資する家は大型と小型のどちらがよいかという点。資産管理コンサルを営むアドヴィジアル社のファブリス・ヘール氏は、「貯蓄を全部つぎ込むようなのはいけません」と説明するが、よほど投資にのめり込んでいる人でない限り、このアドバイスは言うまでもないことだろう。最初の投資案件としては、面積当たりの家賃額が比較的高いストゥディオが適しているとされるが、想定する入居者(学生、若年勤労者、等)と物件のロケーションが符合しているかどうかはチェックを要する。またこうした層の人々が住むストゥディオでは、当然転居も頻繁に起こるので、常に新しい入居者を探したり、頻繁にメンテを施す必要があることも留意すべき事項となる。弁護士であるジャン−ルイ・ル・ブルク氏の「物件を選ぶ際には、『自分がここに住みたいと思うだろうか』と考えてみるべきでしょう」というコメントは、とても的確で傾聴に値する。
ブルク弁護士は、「(不動産投資は)財産として長期に組み入れるという条件のもとで検討すべき投資です」と述べており、これは十分に承知しておくべき点である。少なくとも今後数年間の経済見通しを自ら展望してから行動に移るべきだというのもその通り。そしてこれらの点はフランスに限ったことではなく、日本でも通用するこの種の投資の鉄則であるように思われる。