マックレガー、パリに旗艦店を新展開

1921年アメリカで創業され、現在はオランダ資本下にあるファッションブランド、マックレガー。紳士洋品を主体として、上質感と快適さが共存するアメリカンカジュアルをコンセプトとした販売路線を築いている。日本では百貨店やショッピングセンターのテナント、あるいはアウトレットでの展開がほとんどだが、パリでは最近、マックレガーの大規模な店舗が新たなにお目見えしたという。4月4日付の経済紙『レゼコー』紙は、この人気銘柄のフランスにおける新展開について伝えている(McGregor tente de se refaire un nom en France. Les Echos, 2012.4.4, p.21.)。
マックレガーは、1960年代にフランス市場にかなりの浸透を見せたものの、その後は業容を大幅に縮小させており、現在国内にある同ブランドの専門店舗は6店のみ(うち4店がフランチャイズ)。ところが今般パリ市内で、既存店の代替としてマドレーヌ界隈に200平方メートルの「旗艦店」をオープンさせた。男性向けの3つのコレクションに特化し、ジャケットで300ないし500ユーロ、パンツで100ユーロ前後といった価格帯の商品を販売。さらに小売店を対象とするショールーム機能も設けている。この店を最初のとっかかりとして、ポロ・ラルフ・ローレン、トミー・ヒルフィガー、イーデン・パークといった業界の先行者たち(最後の1社だけが仏企業)に少しでも追いつきたいとの気構えだ。マックレガー・フランスのエマニュエル・ガル社長は、「この店(新旗艦店)のオープンによって我々は勢いを増すことができ、またフランスの方々に当銘柄をもっと知っていただけるようになるでしょう」と期待を述べ、あわせて「最終的には(国内で)30ないし40店舗を直営ないしフランチャイズで出店したい」と表明している。
ただそうは言いつつも、それほど急激な進出は予定していないようで、次の店舗のオープンは早くても来年。その後毎年3ないし5店を順次開いていき、2016年の段階で2,500万ユーロ(現在の2倍以上)の売り上げを出すことを目指している。特に最近は、グループ全体が経済危機による影響に加え、綿価とアジア地域の人件費の増加により多大な痛手(利益率の減少など)を被り、販売価格の3%一斉引き上げを余儀なくされたということもあって、今年いっぱいは新規投資に特に慎重な姿勢で臨むものと見られる。
一方、1年前に実現したモナコ自動車クラブとのパートナー契約は、経営戦略という点で非常に興味深い。えりすぐりの会員約5,000人を擁し、F1のモナコグランプリやラリー・モンテカルロを主催する同クラブ。今後これらレースのチームメンバーやスタッフはマックレガーのウェアを着用することになり、フランスなどにおけるブランドの知名度及びイメージアップが大いに期待できる。設備投資と広告展開とのバランスを取りながら、着実に地歩を築いていこうという方向性が窺えるのではないか。