ハイパーマーケット「オシャン」、ロシア東欧へ大規模進出

カルフール、E・ルクレールと共に、フランスでハイパーマーケットを展開する三大グループの一翼として知られるオシャン。国内だけでなく南欧など世界各地に大規模な進出を果たしているが、現在は特に東ヨーロッパ方面への拡大を意欲的に進めており、他社の既存店舗の買収に余念がないと言われる。12月1日付『ル・フィガロ』紙は、勢いづくオシャンの東方進出の動向について報告している(Auchan toujours plus international. Le Figaro, 2012.12.1, p.31.)。
オシャングループのハイパーマーケット事業本部は、このたびドイツの同業会社、メトロと協定を結び、ロシアを含む東欧諸国にある91のハイパーマーケット(レアルという名称で営業中)と13のショッピングモールを、合計11億ユーロで買収することになった。これは同グループにとって、1996年にドックス・チェーン(仏で初めてのハイパーマーケットを開店したことで知られる)を180億ユーロで引き取って以来の大型買収案件となる。
こうした動きの背景には、オシャンが今のところ、店舗群の地域分散に経営の力点を強く置いているという事実がある。ハイパーマーケット事業本部長を務めるフィリップ・バルク氏は、「我々は今回の取引によって、西ヨーロッパ(266店舗)、アジア(274店舗)と中部・東部ヨーロッパ(209店舗)の間で地理的な均衡を図ることとなりました」と述べて、最近の企業展開の意図するところを伝えている。例えばポーランドではこれまでの26店が買収後は一挙に79店にまで膨らみ、2011年の売上高から推測する今後の各地域の売上比率はフランス国内で40%、南ヨーロッパ20%、アジア14%、東ヨーロッパ26%となって、多極型構成が明快な形で出来上がる。確かに東欧諸国では近代的な商業流通システムがまだそれほど確立しておらず、また経済成長率が相対的に高めでもあるので、オシャンの進出と拡大が、企業にとっても地域や市民にとっても、大きな効果をもたらす可能性が高いということは言えるだろう。
バルク氏はさらに次の展望として、今のところ中国と台湾を中心とした展開状況になっているアジアについて、特にインドでの取組みを強化する方向性を表明している。既にこの夏、同国のランドマーク・グループとフランチャイズ契約を締結し、5店舗をオシャンにリニューアルした他、近いうちに約15店舗を転換させる予定とも言われていて、今後ダイレクトに進出、開店する分も含めインドでのプレゼンスは急激に高まることが期待されている。日本ではカルフールの撤退でも分かるように、ハイパーマーケットという形態はどうにも定着しないのだが、それ以外で今後の伸長が有力視される地域に向かって、オシャンンとしては現在の勢いを維持するべく、さらなる展開に邁進しているというところなのだろうが、さてこのまま順調に推移することができるか。