「スターアカデミー」出身のジェニフェール、今なお活躍中

民放テレビTF1のオーディション番組「スターアカデミー」出身歌手の一人として、先日当ブログでノルウェン・ルロアのことを取り上げたが、今回は同番組初めての優勝者、ジェニフェールの話題を。彼女は2001年に放映された第1シーズンで見事に勝ち残り、翌年デビューを飾って以来活躍を続けているが、6月3日付のフリーペーパー『メトロニュース』紙(『メトロ』から改題)は、発売されたばかりの最新アルバム制作の背景などをインタビュー形式で伝えている(≪Etre à la mode, je m’en moque≫. Metronews, 2013.6.3, p.18.)。
ジェニフェールは昨年「愛と私」というタイトルでアルバムを出しており、今回は1年も立たない中で次作のリリースとなった。「私の告白」という題を付けた新作の特徴は、全篇が1960年代に活躍したスター、フランス・ギャルのカバーアルバムとなっていること。日本でも有名な「夢見るシャンソン人形」など全12曲から構成されている。「フランス・ギャルは以前からあなたに影響を与えてきましたか?」という記者からの質問に対し、ジェニフェールは14、15歳頃から彼女の感化をいろいろ受けるようになったこと、初めの頃は母親がシャンソン好きだったのがきっかけで、自分も楽曲に徐々に親しみ出したということなどを説明している。
カバーアルバムは耳目を集めやすい利点がある一方で、本家とどれだけ近しい関係を保ち、またどれだけ違いを作り出すことによって作品としてのクオリティを築くかというあたりに悩ましい面も少なくない。ジェニフェールはこうした点に関して、「(フランス・ギャルの唄の)歌詞には自由(な解釈や歌い方)を許してくれる部分がたくさんありました」と語り、この機会を「新しい挑戦」として前向きに捉えているとアピールした。そして、約50年先輩とも言えるヒットメーカーに対する好印象、作品に対する愛着を(自分が歌うことで)具体的な形にできたのを嬉しく思うと、今作に対する想いを表現している。実はカバーにあたり、年の離れた二人の歌手のコンタクトは「人づて」にとどまっていて、若干関係がぎくしゃくしている様子もなくはないようなのだが、今後の展開、とりわけジェニフェールの活躍が事態を良い方向につなげていければよいと思う。
ちなみに彼女の最近の仕事というと、同じTF1の新進歌手発掘番組「ザ・ヴォイス」でスターの卵たちのコーチ役として出演しているのが目立つ。これについてジェニフェールは、「他の3人のコーチの先生方(の実力)とは比べものにならないですが、自分を精神的に成長させる機会になっていると思います。この番組は私に、ある意味の自信を与えてくれるきっかけにもなりました」と率直な思いを語っている。10年ほどの歳月を経て、かつてオーディション番組から飛び出した自分が今度は同じ種類の番組に先生として登場する。伸びやかな声がデビュー当初から印象的だった彼女が、今も華々しくある様子はとても喜ばしいというべきではないだろうか。