フランス
日本で「薬漬け医療」が批判されて久しい。その原因の一つと言われた医薬分業の欠如は、ヨーロッパにおいては無縁のことであるはずだが、どうも医者と薬局がきれいに分かれているからといって、医薬品への依存度が低くなるということではないようだ。最近フ…
下町の路地裏、長屋の軒に並んだ鉢植えの花がそこを行く人々に季節の彩りを伝える…そんな都会生活を原風景に持つ東京生まれの日本人であるせいか、フランス、とりわけパリなどの街並みを辿るにつけ、石造りの建物から歴史の重みを受け取ると同時に、なんとな…
ツイッターというのには正直言って今一つなじめない。140字への制限がメッセージの断片化、ひいてはコミュニケーションの断片化につながっているのではという疑いが拭えないからだが、まあ140字だからこそ気軽に発信できるという人々が多いのも事実だろう。…
遺跡は洋の東西を問わず注目を集める観光の対象。そしていわゆる戦争遺跡についても、特に近代戦のそれは関係者やその子孫が存命な場合もあるだけに、複雑な感情を惹起しがちではあるものの、「歴史の証人」として多くの市民が興味を持つのは当然と言ってよ…
自宅で過ごすときは余計な拘束を取り外したくて靴下を脱ぎ、少しぐらい寒くても快適(スリッパなどはまず履かない)なのだが、もちろん戸外は別。砂地(浜辺を除く)や土の上でも、かねて衛生問題が指摘された記憶もあり、自分としては素足でいることは想像…
飛行機の爆音は日々聞かされれば当然うるさい以外の何物でもないが、たまに離陸の雄姿を目の当たりにするのはとても興味をそそられることでもある。羽田空港近くの公園は、休日など旅客機を眺める親子で賑わうとも聞く。そうなるともちろんパリの空港周辺で…
フランスの新聞では、夏休み期間になると明らかに「これは事前に書きためておいたのではないか」と推測できる特集記事の類が多くなる。ヴァカンスが権利として確立している国のことだけはあるが、もちろん事前準備記事だからといってつまらないわけではなく…
日本のテレビCMなどと比べると、フランスではいわゆるタレント・芸能人が出演しているケースは非常に少ないように思うのだが、もちろんイメージを大切にするファッション関係や化粧品などでは、歌手や俳優の出番もそれなりに増えてくる。そして、おしゃれア…
コンテンポラリーアートの作品を買い付けるセレブたちについて、このあいだ当ブログ(7月1日付)で紹介したばかりだが、今日も現代美術の話題を取り上げてみよう。大人が見るとなにかと考え過ぎ、かえってわかりにくくなるこの種の作品でも、子どもは余計な…
フランスで自治体向け融資等を集中的に手掛ける他、ベルギー、ルクセンブルク、トルコでもリテール銀行として営業してきたデクシアの行き詰まり(昨年10月)については、日本の新聞でも事実関係がある程度取り上げられた。7月31日付の『ラ・クロワ』紙は、フ…
フランスでも大学の夏休みは長い。8、9月まるごと休みといった日本の現状については、「教授も学生ももっと登校してせいぜい研究・勉強すべきだ」といった声も出てきそうな当世ではあるけれど、一方で長期休暇でないと取り組めない課題(地域実習とか、長編…
いろいろ言っても、やはり夏はワインが飲みづらい。日本ではワインクーラーを使わなければ、赤ワインにとっての適温は上手に確保できないのではないか。その点ヨーロッパなら、地下室にでも入れておけば比較的容易に適温が保てるという利点はあるが、それで…
食通の街、グルメ・グルマンの街として、例えば東京などはパリに決してひけをとらないと感じる(特に料理のジャンルの多様性が売り)が、今回見つけた話題はいかにもパリらしく、しかもこの大都市が食に対して常に注いでいる情熱を改めて見せつけられた思い…
17世紀以来、バロック様式の豪華な宮殿と、広大で均整のとれた800ヘクタールもの庭園で、他の追随を許さない存在であり続けているヴェルサイユ。そして意外というか当然というべきか、その維持管理に必要とされる膨大な費用の相当部分は、篤志家や大企業によ…
パリ19区のラ・ヴィレットと言えば、広大な公園の中に科学産業博物館、音楽博物館、オムニマックスのドームシアター(ジェオード)、ポピュラー音楽向けのコンサート施設(ゼニット)などを備えた、市内を代表する再開発地域の一つ。既に大方の知名度も高く…
自分の家を持ちたいと思った時に、建築士に依頼するという人は日本でもさほど多くないのではないかと思う。プロフェッショナルな知識と技術を活かしてもらえる分、経費も高くついてしまうのではという心配がつきまといがちだ。こうした懸念はフランスの場合…
愛飲家と名乗るほどではないにしても、時にはワインを味わい、その美味しさに感動することもある身としては、そこそこの値段で適度に楽しめるワインと付き合っていければ充分というのが正直な気持ちではある。ただ世の中にはそれだけで満足できない人たちが…
レミー・マルタンと言えば、おそらくヘネシーを超えて、コニャック(フランスのコニャック地方で作られるブランデー)の代表格と言える銘柄。一方コアントローはオレンジの香りのするリキュール(ホワイトキュラソーの一種)だが、こちらの知名度は若干低い…
コールセンターの外国流出(オフショアリング)に起因するフランスの雇用減少問題については、1年半ほど前に当ブログでも取り上げた(2010年11月20日付)が、やはりそれ以後も問題は解決しないどころか、より深刻化しているようだ。歴代の担当大臣もこの事態…
パリをはじめとするフランスの大都市の不動産価格は、このところ何年も高騰傾向を続けており、結果として例えばパリ市内で普通の人々が持ち家(自己所有のアパルトマン)を手に入れることは、もはや高嶺の花といった状態にあると言われる。それでは直近の情…
インスタントからドリップ式、そしてまた自家焙煎豆専門店の隆盛と、日本人が家庭で飲むコーヒーも、この数十年の間に変化し、多様化してきた。もちろん「朝はカフェオレとクロワッサンから」がある種の伝統として定着していて、実際1人1日平均2.2杯のコーヒ…
夏場にクールビズが推奨され、「どぶねずみ色」と揶揄されてきた日本紳士のビジネス服の世界も変革を迫られる状況になってきた。一方、ファッション先進地域として男性のお洒落度も高いとみられるヨーロッパ、とりわけフランス。なんと今年はパステルカラー…
自然派食品をめぐるフランスの動きについては、当ブログでこれまでに何回か話題を扱ってきているので、今日は簡単な紹介のみに留めておこう。6月6日付のフリーペーパー『メトロ』紙は、引き続き増勢にあるとみられている自然派食品について、具体的な数字を…
消費者向けサービスを提供するどの業界でも、ニーズを敏感に捉えそれを先んずるか、せめて出遅れないようにしなければ、大企業であっても業容の停滞は必至。日本の旅行業界を例に取れば、HISなどが順調にシェアを伸ばしている(とみられる)一方、そのあおり…
日本では2009年に公文書管理法が成立して以来(2011年施行)、公文書の保存と利用に関する意識が多少高まっている様子も窺えるが、すでに聞こえて来ているのが年々増え続ける文書を収蔵するスペース確保の問題。この点は公文書先進国?であるフランスも同様…
パリ市内も、セーヌ河沿いを歩いてオステルリッツ駅を過ぎると、もう出外れた雰囲気を醸し出していた時期が長かったはずだが、それも過去のこととなりつつあるのか。フランス国立図書館(BNF)の南側に大学が進出し、この地帯を拠点とする学生の数は確実に増…
保守派から左派への政権交代によって、あらゆる分野でさまざまな変動が予想されているフランス。その中には、意外というか当然というか、放送界そしてニュースの世界も含まれている。新大統領選出より以前から実は予測されていたという変動とはいかなるもの…
近年は猛暑の報道をしばしば見かけるフランス。パリではこれまで意外に少なかった「冷房完備」のホテルやレストランがようやく増えてきたが、暑過ぎる夏が度重なるようになってきたのがその主な要因だろう。ニースなど、これまでは年間を通じて安定した気候…
オランド新大統領誕生以降、日本の新聞にも多くの解説・分析記事が掲載されたが、その多くは、社会党政権下で想定される緊縮財政を緩和する方向性を持つ政策が、ユーロ経済、ひいては日本を含む世界経済に悪影響を与えるのではないかという点を特に強調した…
ギリシャなどの南欧諸国における国債危機に端を発するヨーロッパの銀行不安は、現在は一応小康状態にあると考えられるけれど、各銀行においてなお注意深い対応を必要とすることに変わりはない。そうした中で注目を集めているのが個人預金の動向。正直なとこ…